自動運転レベル4実現と保険連携で見えた現実味 電動ゴルフカートを活用した次世代EVに迫る

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高精度3次元地図データ作成の概要(筆者撮影)

さらに当実験では、リスクアセスメントを積極的に取り入れていることも注目点だ。これは、いわば「事故の予防」を目的とするもの。‪実証実験の計画段階から走行ルート案における危険シナリオを洗い出し、それらの危険度を評価して、適切な対策を講じることで、安全な走行を支援するソリューション‬だ。

なお3社は、モリコロパークだけでなく、全国でさまざまな実証実験を行った結果、2021年5月に「‪自動運転向けデジタルリスクアセスメント‬」というソリューションを開発し、提供を開始した。メニューには、例えば「‪MMS(モービルマッピングシステム)」という装置を搭載した車両で、自動運転車が走る想定コースを実走し、自動運転に不可欠な‪高精度3次元地図を生成するための点群データ‬を取得するといったサービスがある。また、‪デジタルシミュレーションを行い、自動走行の危険度合いを解析‬するサービスや、‪走行ルートを網羅する通信環境状態の調査‬も行う。ほかにも、損害保険ジャパン‪が保有する過去の事故情報や危険運転情報などを活用し、ルート上の危険な場所を可視化‬するサービスなども含まれる。

自動運転に対応した保険サービスの開発

さらに3社は、2022年2月4日、国内初の‪「自動運転システム提供者専用保険」も発表した。‪自動運転システムによって自律走行するレベル4‬以上の車両に対応した当保険は、‪自動運転システム‬提供者が行う、導入事業者へのさまざまなサービスの一環として開発されたものだ。まずは、参画企業で、先述した自動運転システムのオートウェアを運用するティアフォーへ当保険を提供、ヤマハ発動機との合弁会社「イヴオートノミー(‪eve autonomy‬)」が展開する工場などに向けた屋内自動搬送‪サービス「‬イヴオート(‪eve auto)」‬に適用する。

保険の概要は、‪ティアフォーなどの自動運転システム提供者を記名被保険者として、自動車保険における対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなどの補償を組み込み、サブスクリプション型で行う自動運転サービスのひとつとして提供‬。‪自動運転中に発生した事故の責任を、システム提供者が負う形で保険の事故対応を進めることで、迅速かつ納得感のある被害者救済を目指す‬という。

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