自動運転レベル4実現と保険連携で見えた現実味 電動ゴルフカートを活用した次世代EVに迫る

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後ろから見たマイリーの外観(筆者撮影)

また、自動運転関連の装備では、車両の目となるLiDAR(ライダー)や単眼カメラなどのセンサー類を搭載。実証実験に参画する名古屋大学等が開発した自動運転ソフトウェア「オートウェア(Autoware)」を採用するほか、高精度3次元地図により自車位置を測定し、レベル4の自動運転を可能とする。

車体の前後左右に取り付けられたLiDARなどのセンサー類(筆者撮影)

当車両を使った実証実験は、愛知県や公益財団法人科学技術交流財団が行った、産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクトIII期」の一環だ。プロジェクトのひとつ「日本初の自動運転モビリティによるサービス実用化に向けた技術研究開発」を目的として行われた。

具体的に2021年10~11月に実施された実証実験を例に挙げると、モリコロパーク内の道路(非公道)を使い、来園者の移動用としてマイリーを使用するという想定で行われた。2005年に開催された愛・地球博の会場跡地に作られた公園は、敷地面積が約190haと広大だ。

乗員が座るシート(筆者撮影)

オートモーティブワールド会場で取材したアイサンテクノロジーの担当者によれば、実証実験は、「来園者が徒歩で移動するには、労力や時間がかかるため、小型の自動運転車を移動手段に使う」といった公共サービスの実用化を図ることを目的としている。とくに足が不自由な人には、広大な公園での長距離移動は難しい場合もあるだろう。そうした地域住民の利便性向上を図るとともに、アイサンテクノロジーなどの事業者側は、自治体と一体となった新たなビジネスモデルの創出を目指し実施した。

なお、実験では、一般から募った希望者に試乗してもらい、乗り心地や安心感などを含めた、開発の成果などを体験してもらったという。

マイリーの安全装備やシステムについて

当実証実験の特徴として、安全面に関する新たな取り組みにも注目したい。実験に使われたマイリーは、走行ルート上に障害物を検知した場合は、自動で緊急停止できる機能を持つが、走行時には車両へオペレーターも同乗し、緊急時に対応する。

マイリーの基本スペック(筆者撮影)

また、実験では3台を同時運行させたが、損害保険ジャパンが開発した「SOMPO自動運転見守りアプリ」を採用し、遠隔地にあるサポートセンターでオペレーターが各車両の運行を監視。仮に‪自動運転車の走行中に事故やトラブルが発生した場合には、‬オペレーターのパソコン画面に‪自動運転車の状況‬が映し出され、‪オペレーターが能動的に乗客へ呼びかけるなど、現場での迅速な事故対応を想定。また、自動運転車が走行不能となった‬場合には、‪レッカー手配も提供‬するなど、さまざまな事故対応ソリューションについても実験が行われた。

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