その一方で、「Life」がれっきとした本物のラジオ番組であるということも重要だ。今はパソコンとインターネットを活用すれば、自分でラジオ番組風のものを作り、配信することは容易だ。中には優れたものもあるのだが、特に若い人の場合、自己満足で終わってしまうことも多い。「Life」の場合、日曜深夜とはいえ、数万人規模のリスナーがいる。
“実戦”だからこそ、反省もするし、自信になる
スタッフサイドからのフィードバックもあり、またつねに番組の質を保つために全力を尽くすメインパーソナリティ・鈴木謙介さんの気迫に触れる緊張感もあるだろう。あくまでも“実戦”だからこそ、失敗すれば反省もするし、成功したときには自信になるのだ。
もちろん番組としては、毎回できるだけよいものにしたいと思っている。ただ、その都度の結果のみを優先すると、新しい人に賭けることができない。実績がある人のほうが安心だからだ。結果を出すことを目指しつつも、新しい可能性のほうをより重視する、そんな腹のくくり方ができる場が必要だ。僕自身にとっても、現在のメインの仕事である「荻上チキ・Session-22」をはじめ、「Life」での実験がその後に結び付いていることが多い。
ベンチャー企業だったり、業界自体が新しいときには新しい人がどんどん出てくる。また、大きな利益が出ていれば、多少の失敗があってもほかで取り戻せるので大胆なチャレンジができる。しかし、成熟、低成長の時代になると、どうしても保守的になりがちだ。今の日本の社会全体を見渡してみても、「失敗もできる“実戦”の場」を持つことは重要なのではないだろうか。
構成:宮崎智之
☆★☆お知らせ☆★☆
この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める「文化系トークラジオLife」が、10月26日(日)26:00~(10月27日2:00~)に放送されました。テーマは「フィジカルの逆襲」。過去の放送は、ポッドキャストでも聴けます。
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