コロナ禍を機に大衆化、「シベリア鉄道」の大改革 かつては極東とウクライナを結ぶ直通客車も

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ダイヤ面では少し寂しくなったロシア号だが、特筆に値するのは2019年デビューの新型客車が投入されたことだ。従来は各車両に車掌室があったが、新型客車では2両分を1つの車掌室で管理することが可能になった。車掌との交流はシベリア鉄道旅行の醍醐味の一つであり、車掌との交流機会が減ることになるが、車掌室が置かれていたスペースに自動販売機などが設置され、旅客サービスは大幅に向上した。

「ロシア号」8号車の車内。シャワーや自動販売機のマークが確認できる(画像:ロシア鉄道)

シャワーの設置も見逃せないポイントだ。ロシア鉄道のウェブサイトでロシア号の車内見取り図を確認すると、ほとんどの車両にシャワーが設置されていることが確認できる。筆者がシベリア鉄道に乗車した2018年時点は1等寝台車「エスヴェー」にしかシャワー室がなく、150ルーブル(約225円)を車掌に払って利用した。しかし栓が上部にあり、身長175cmの筆者であっても背伸びをする必要があり、お世辞にも使い勝手のよいものではなかった。

ロシア人がアップしているユーチューブ動画を見る限り、新型客車のシャワー室はホテルと遜色なく、以前よりは使い勝手がよいと推測できる。もっともシャワー室は各車両に1室のみなので、手短に済ませる必要があるだろう。

もちろん寝台内も改善されている。多数のコンセントや金庫が設置され、現代のニーズに合った車内となった。またWi-Fiも整備され、車内でのインターネット利用も可能だという。

1等寝台車の減少が続く

シベリア鉄道における長距離列車のクラスは大きく3クラスに分類できる。

最上クラスは1等寝台車エスヴェーだ。1等寝台車は2人用個室になる。2等寝台車は4人用個室クペーとなり、エスヴェーを4人用にした感じの部屋だ。筆者はロシアの寝台車に乗るたびにクペーに乗車するが、多くのビジネスマンに愛用されているように感じる。

3等寝台車「プラッツカルト」はコンパートメントになっていない開放型寝台車だが、日本のブルートレインで見られた客車型B寝台とはレイアウトが異なる。このほかに特等寝台車「リュクス」があるが、連結する列車はごく一部に限られる。

「ロシア号」は2等寝台車「クペー」と3等寝台車「プラッツカルト」から構成される(画像:ロシア鉄道)
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