そのうえで、こんなことを書いている。
現在のアメリカ経済は、まさに「高圧経済」になっているのではないだろうか。インフレは、いわばその副反応ということになる。
今から考えればサマーズ氏の指摘は正しかったわけだが、バイデン政権はあえて財政政策が小さすぎるよりも、大きすぎる失敗のほうを選択した。その結果としての金融引き締めは「もって瞑(めい)すべし」であろう。
BBB法案成立は困難、FRBはインフレ退治優先の可能性
この仮説から導き出される結論は2つある。
1つはアメリカ政治の問題であって、バイデン政権が成立を目指しているBBB(ビルド・バック・ベター)法案はやはり難しい、ということだ。民主党左派が悲願とする法案で、医療、教育、育児、貧困救済などへの支出を目指している。
しかるに、インフレが進行している中での大型歳出法案の成立には無理があるだろう。3月1日に予定されている一般教書演説で、バイデン大統領がこの点をどんな風に訴えるかが気になるところである。
もう1つは、株式市場に対するものである。景気よし、雇用よしの今のアメリカ経済においては、FRBの金融引き締めには「政治的正当性」がある。パウエル氏は議長として2期目に入ったばかりだが、なかなか「ハト派」には戻れないとみるべきだろう。
インフレ退治の過程では、株価や資産価格が急落することもありうる。わが国とは違って、「家計資産の約半分が株式市場にある」といわれるのがアメリカだ。だから「そんなに無理はしないはずだ」とつい考えたくなる。ただし投資家目線でいえば、「パウエル・プット」はあんまり期待しちゃダメよ、ということになる。
(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)
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