藤井隆「新婚さん」司会抜てきに誰もが納得の理由 この番組の司会者にふさわしい3の要素を持つ

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だが、藤井にはそのようなイメージがほとんどない。常に礼儀正しく謙虚な姿勢を崩さないので、共演者にも視聴者にも好かれている。たとえ笑いのためであっても人を傷つけるような発言をすることがほとんどないので、安心して見ていられる。今まで以上に「人を傷つけない笑い」が求められている時代だからこそ、藤井に白羽の矢が立ったのだろう。

2つ目は「愛妻家である」ということだ。藤井は2005年に女優の乙葉と結婚した。藤井がバラエティ番組などでプライベートについて積極的に語る機会は多くはないが、ときどき漏れる言葉からは、家庭を大事にしていて、癒やし系キャラの乙葉と子どもと充実した家庭生活を送っていることがうかがえる。結婚10周年の2015年には夫婦で「いい夫婦の日 パートナー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれた。

相手の良さを引き出す能力

仲睦まじい新婚カップルが出演する番組だからこそ、司会者にも清廉潔白で家庭的なイメージがあるのに越したことはない。この点では、男性芸人の中でも藤井ほどこの番組にふさわしい人はいない。

3つ目は「相手の良さを引き出す能力がある」ということだ。藤井はこれまでに多岐にわたる芸能活動を行っており、その中の1つに「音楽プロデューサー業」がある。

藤井は2014年に自身の音楽レーベル「SLENDERIE RECORD」を立ち上げて、プロデューサーとしての活動を本格的に始めた。このレーベルには藤井本人以外にも早見優、鈴木京香、レイザーラモンRG、椿鬼奴などの豪華な顔ぶれがアーティストとして名を連ねている。藤井は彼らの魅力を引き出すための楽曲制作やアートワークなどのトータルプロデュースを手がけてきた。

2020年にリリースされた藤井プロデュースのアルバム『SLENDERIE ideal』には、麒麟の川島明やフットボールアワーの後藤輝基なども参加しており、彼らが普段テレビで見せているのとは違う一面を引き出されている。

そんな藤井は、他人のいいところを発見して、そこを伸ばしていくということに長けている。これは一般人を毎週ゲストに迎える『新婚さんいらっしゃい!』の司会者にとって、間違いなく重要な資質であると言えるだろう。

『新婚さんいらっしゃい!』に藤井が出演することには、驚きよりも納得の方が強い。彼の温かみのある司会ぶりは、日曜の昼のテレビ空間に違和感なく溶け込んでいくだろう。

(お笑い評論家・ラリー遠田)

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/
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