日本株は金利上昇局面でも再浮上と見ていいのか 「本格的業績相場」の到来か、それとも失速か

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ただ、そうした中でも、株価の企業業績への反応も大きく、決算発表直後の株価の反応が2桁パーセントに及ぶことも珍しくなくなっている。しかも、それが今回のメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)やアマゾン・ドット・コムのように、当該企業の動きだけでなく、市場全体に及ぶようになっている。

「業績相場への入り口」なのか、見極める局面

歴史は金融相場(上昇相場)と逆金融相場(下降相場)の間に「業績相場」(上昇継続相場)を存在させている。市場は一見動揺しているように見えるが、まさに今起こっている現象が業績相場といえまいか。

ただし、早急に決めつけず、これが業績相場への大きな流れの入り口なのか、それとも金融政策に一喜一憂することに疲れ果てた投資家による「3月のFOMCまでの幕間つなぎ」にすぎないのか、今はしっかり見極めるところだ。

日米主要企業の決算発表も1つ大きな峠を越したが、今週(7~11日)は、アメリカではアムジェンやファイザー、ウォルト・ディズニー、ツイッター、コカ・コーラなどがまだ残っている。日本ではソフトバンクグループとトヨタ自動車の決算がある。

株式市場では俗に「節分天井、彼岸底」と言われる。来月の3月15~16日のFOMCが終わると、18日から彼岸に入る。今年の相場はまだこれからだ。焦らずにゆっくりいこうではないか。

ところで、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2021年10~12月期の運用実績が発表になった。結果は5兆4372億円の黒字だった。

アメリカ株式の上昇が主な理由だが、これで2021年12月末時点の運用資産額は199兆2518億円。市場運用を始めた2001年度からの累積収益額は107兆6319億円にのぼる。

GPIFがスタートしたときから「団塊世代が65歳になる2013年から支払い超過で、年金資産は急速に目減りし、年金制度が崩壊する」などと、学者たちは口をそろえて言っていたのを思い出す。メディアが大々的に報道したこともあり、団塊世代としては肩身が狭かった。

しかし、団塊世代が後期高齢者になろうとしている今、年金資産は増え続けている。資産運用が順調なときは、前期も前々期もそうだったように、事実を簡単に伝えるのみだ。とくに今回はオミクロン株で忙しいこともあるだろうが、世の中の話題にもなっていない。高齢化が進む中で、運用の重要性が増している。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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