「目標はアップル」、日本車両の鉄道ブランド戦略 台車や構体の技術を活用、第1弾は通勤型315系

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JR東海の新型車両315系(記者撮影)

「確かに騒音や揺れが少ないね」。日頃は辛口で知られる中京地区の報道陣たちもうなった。3月5日から中央本線・名古屋ー中津川間で運転開始するJR東海の新型在来線通勤電車「315系」の報道陣向け試乗会が2月1日に行われ、名古屋―多治見間を1往復した。

315系の特徴は高い省エネ性能および、車両状態監視システム、主要機器の2重系化といった安全性・安定性の向上が挙げられるが、乗客にわかりやすい特徴はその快適性だ。遮音性が高い床構造や複層ガラスを採用し静粛性が向上、置き換え対象となる「211系」と比べると、「車内騒音が10デシベル改善する」と、東海鉄道事業本部の中村修二車両課長が話す。

遮音性向上の効果は

「数字で言われてもわからない」と中村課長に訴えたら、「車両の端に行って貫通扉を開けてみてください」という返答があった。貫通扉を開けてみるとすごい騒音が聞こえる。閉じた状態と比較してみると、確かに車内は相当静かなことがわかる。床下機器の形状を工夫することで騒音を軽減しており、外の騒音も従来よりも静かだという。

1人当たりの幅が広がったシート。背もたれの形状も改善した(記者撮影)

これ以外にも、台車は新型のものを導入することで上下、左右の振動を低減した。車内ではシートの背もたれの形状を工夫して腰への負担を軽くした。座席幅は従来の45cmから46cmに1cm拡大してゆとりを持たせた。騒音や揺れが少なく座り心地もいい。取材を終えて一息ついたのか、帰路では車内でうたた寝するマスコミ関係者の姿も。これこそ乗り心地が改善されたことの表れかもしれない。

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