世界で戦う、鉄道王国ニッポンの弱点 海外への“売り込み”体制は万全か?

拡大
縮小

ある国内メーカーの幹部は、「イノトランスに出展した理由は、ビジネスを拡大するというよりも、外国のお客様にわれわれは元気でやっていますという姿を見せるのが目的」と語っていた。だとしたら、このように外国企業に比べて日本のイノトランスに対する取り組み姿勢はあまりにも異なるように感じる。

新幹線はもっと売り込める

日本政府は、安倍晋三首相が先頭に立って新幹線のパッケージ輸出を進めている。トップ外交や円借款などさまざまなレベルでサポートを行っているが、世界の鉄道関係者が一同に介するこうした見本市の場をもっと活用してもよい。

日本メーカーは屋外に実車展示ができないという点で欧州メーカーに後れを取っている。だとしたら、次回のイノトランスに新幹線車両を展示してみてはどうだろうか。北陸新幹線E7系の本物を展示できれば、内装の美しさに外国人が感嘆の声を上げる姿が想像される。

実際に新幹線を展示するとなれば、海上輸送に巨額の費用がかかるし、車両を購入するJRもいやがるかもしれないが、世界に日本の意気込みを示す上では大きなアピールになるはずだ。新幹線輸出の本気度を示したいなら、そのくらいスケールの大きい支援策があってもいい。

週刊東洋経済2014年10月25日号(10月20日発売)の特集は「鉄道異変あり!」です。速度重視から省エネに転じた高速鉄道、需要爆発の都市鉄道。変貌する世界の鉄道ビジネスに、日本はどう立ち向かうのか。最前線を追いました。
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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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