「論理的な上司」の話が部下に響かない納得理由 部下との信頼関係を深めるカギは「聞く力」
好きな上司なら、素直にアドバイスを受け入れたくなりますが、嫌いな上司であれば、「なんでそんなこと言われなきゃならないの?」と反発したくなります。
お互いにアドバイスしている内容はまったく同じで論理的にも正しいのに、なぜこんなことが起こるのでしょうか?
「人は感情の生き物」
その理由は「人は感情の生き物」だからです。人は必ずしもロジックで動くわけではありません。突き詰めれば、人は感情で動きます。好きなことはやるし、嫌いなことはやらない。
「好きか嫌いか?」という、とてもシンプルな行動原理です。「好きか嫌いか?」というのは「価値観」です。人はさまざまな価値観を持っていて、価値観がフィルターとなり、さまざまな感情が起こります。
たとえば、「読書は大切」という価値観を持っている人は、本を見ると「読みたい!」という「快の感情」が発生し、本を購入するという「行動」を取ります。その結果、読書するという結果に至ります。「ある感情がある行動を引き起こす」というメカニズムですが、ある感情を引き起こすのは「価値観」というフィルターです。
このメカニズムを理解しておくと、ロジカルではない不可解に見える人の行動も理解できます。ロジカルに説明して、議論で相手に勝ったとしても、「相手が言うことを聞いてくれない」ことは多々あります。ロジックですべてうまくいくのであれば、誰も苦労はしないのです。
ロジックは非常に効果的なコミュニケーションツールである反面、ロジックだけでコミュニケーションが取れるわけではありません。「議論に勝って、勝負に負ける」ことが往々にして起こるように、論破できても、相手の感情を害せば、関係性を悪化させます。
とりわけ、直感的な人や感性で行動するような人とのコミュニケーションにおいては、ロジックが通用しないことも多々あります。そんな場合どうしたらいいのか?
重要なカギは「相手の心を理解すること」です。心とは、「感情」あるいは「気持ち」とも読み替えられますが、相手の心を理解することがロジックを超えたコミュニケーションのカギとなります。相手の心を理解するためには、相手をよく傾聴して、相手を受け入れることです。