米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長のタカ派転換で、金融市場の想定よりも早期に世界経済の重要な支えが取り除かれる見通しが鮮明になった。
パウエル議長率いる連邦公開市場委員会(FOMC)は先週、早期利上げの方針だけでなく、3月の早い時期に債券購入を終了させることも示唆した。他の国・地域の中央銀行も、新型コロナウイルス禍による不況下で加速した債券購入を終了したり減速したりしている。引き締めが視野に入っているケースもある。
世界の中央銀行のBS拡大量は急減へ
昨年10月に量的緩和(QE)を終了したカナダ銀行は先週、金融政策引き締めの可能性を示唆。オーストラリア準備銀行は2月1日に債券購入プログラムの終了を発表すると見込まれているほか、同月3日にはイングランド銀行がバランスシート縮小を開始し得る水準への政策金利引き上げを発表するとの見方が市場で広がっている。
ブルームバーグ・エコノミクスの予測では、主要7カ国(G7)の中銀による今年のバランスシート拡大は3300億ドル(約38兆円)にとどまり、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)期の8兆ドル強から急減する見通し。
重要な問題は、量的緩和解除が世界経済に何を意味するかだ。それによって中銀が激しいインフレを抑制することができるなら、特に指標金利引き上げの代わりとして機能する場合は、2020年の不況からの回復を持続させるだろう。
しかし、そのプロセスが市場を混乱させることになれば、消費者や企業への信用の流れを止め、彼らの信頼感を損なうという逆効果をもたらしかねない。