原油価格堅調でも産油国が増産を渋る明確な理由 今春1バレル=100ドルを試す可能性が高まる

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主要産油国で構成されるOPECプラスは1月4日に開かれた会合で、「月あたり40万バレル」という段階的な増産方針を維持することですでに合意済みだ。それに先立って開かれた合同技術委員会(JTC)では、「現在のオミクロン株による需要への影響は限定的」との見方が示され、2022年度の需要見通しも据え置きとされた。オミクロン株が重症化しないことを前提に各国政府が対応を修正してくれば、景気も再び回復基調を強め、原油需要も増加に向かいそうだ。

OPECプラス以外の生産は、予想通り増加しない恐れ

一方、供給面では、OPECプラス以外の産油国の生産動向がカギを握る。国際エネルギー機関(IEA)によると、昨年12月14日に発表した月報で、2022年の世界生産が前年比で日量640万バレル増と、大幅に増加するとの見通しを示している。

IEAのレポートでは、OPECプラスが現在の段階的な増産を継続するなら、サウジアラビアとロシアの生産量は過去最高を更新する可能性が高いとしたほか、OPECプラス以外の産油国の生産も、アメリカとカナダ、ブラジルを中心に、日量180万バレル増加することが背景にあるという。

こうした生産増加を受けて、世界市場は2022年半ばにかけて供給過剰の状態が続く可能性も高い。昨年11月にアメリカが中国、インド、韓国、日本、英国と協調して戦略備蓄原油(SPR)の放出を行う方針を示したことと合わせ、相場の大きな重石となるとの見方が有力となっている。

しかしながら、こうした生産の増加観測は「絵に描いた餅」となる可能性が高い。IEAは「アメリカとカナダ、ブラジルの生産が過去最高水準にまで増加する」と見るが、実は、これらの産油国で生産が増加する余地の残っている油田は、どれも生産コストが高いことを忘れるべきではない。例を挙げれば、アメリカはシェールオイルが中心となるだろうし、カナダはオイルサンド、ブラジルはサントス湾の深海油田であり、どれも採掘するのに技術を要するものばかりだ。

それでも、この先、価格が上昇すれば十分に採算は取れるわけだし、足元の相場高騰を見る限り、生産増加に踏み切っても何の問題もないように思える。だが、話はそれほど単純ではないのだ。

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