「1本3000円」ガトーショコラ店がFC展開する戦略 価格3倍「業務用チョコレートの最高峰」を使用
また同店のガトーショコラでは小麦粉を使わない。このことから実現する、とろけるようななめらかさと香りが大きな特徴となっている。チョコレートの占める割合が高く濃厚であるとともに、小麦粉を使ったケーキのように完全に火を通す必要がないので、いわば卵の半熟のような状態だ。
「これまでに経験したことのない味」と、レストラン客から評判になったのが、ガトーショコラ専門店誕生のきっかけである。ただ、当時テイクアウトを求める声も高かったものの、氏家氏はなかなか踏み切ることができなかった。
「焼きたてのおいしさを味わっていただきたい」という、料理人としてのプライドからだそうだ。
仕入れる量が多くなればより高品質の素材を使える
なお、ガトーショコラの素材はこれまでにも幾度か変わっている。現在採用しているクーベルチュールチョコレートは、イタリアのドモーリ社創業者のジャンルーカ・フランゾーニ氏が調合した「KEN’S BLEND CRIOLLO」、そしてヴァローナ社のオリジナルチョコレート「KEN’S BLEND NOIR」の2種類だそうだ。
CRIOLLOはベネズエラの農園でつくられる非常に希少なカカオで、本来、氏家氏でも使うことをためらうような価格だが、仕事で来日したフランゾーニ氏とその奥方が氏家氏のつくるガトーショコラに感動したことから、特別価格で仕入れられるようになったのだという。
このように、同店では素材、中でも主役であるチョコレートの品質が、ガトーショコラのおいしさの核となっている。そして仕入れる量が多くなるほど、比例して仕入れられる品種の選択肢も増え、価格も有利になるのだそうだ。
現在、本店でつくる商品とファミリーマートなどとのコラボ商品に使う素材として、年間で10トンのチョコレートを仕入れているが、FC展開で取扱量が例えば50トンに増えることにより、より高品質の素材を使えるようになるという。
カカオの産地と言えば日本ではアフリカというイメージが強い。しかし近年ではコーヒーやウィスキーなども含め全体的にシングルオリジンへの志向が高まっている。結果、Bean to Barブランドが増えたり、大手メーカーでさまざまな産地のカカオを使った商品を発売するなど、市場も消費者の好みも豊かになってきている。こうした背景には、ガトーショコラを通じてチョコレートの魅力を伝道してきた、氏家氏の貢献もあるだろう。ケンズカフェ東京のFC化は、チョコレート市場のさらなる活性化と繁栄を牽引していくようだ。
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