マーケティングがもはや「運ゲー」ではない理由 データサイエンスが「消費者分析」を一変させた
かつてのマスマーケティングの時代は、消費者のデータが取れなかったため、より多くの人に、情報を届け、購入してもらうことを重視した時代でした。結果として、より多くの人の満足度を高めることが戦略上のポイントでした。CS(Customer Satisfaction)の時代です。
2000年頃になると、CRM(Customer Relationship Management)の時代がやってきます。IT技術の進展により、個々の消費者のデータがとれるようになりました。POSデータなどから、顧客属性(性別、年代)などの情報や、購買履歴の情報がとれるようになりました。それらの情報をもとに、50代・男性であればこのような商品が好きなはずだとか、牛乳を買った人はパンを買う可能性が高いなどの傾向が把握できるようになりました。企業は、消費者に対して、興味がありそうな情報(興味をもつ確率が高い情報)を提供することが戦略上のポイントでした。
近年は、マーケティング戦略ではCX(Customer Experience)戦略が注目をあびています。CRMの時代と比べて、さらに深い消費者のデータが取得できるようになったことをうけて、消費者とのコミュニケーションのあり方を設計していこうという考え方です。
具体的には、CRMの時代では、消費者の購買履歴しかわからなかったものが、その背景までわかるようになりました。例えば、Webサイトの閲覧履歴などのデータも取得できるようになったため、その人の志向を分析できるのです。同じカテゴリーの商品を買う際にも、高級ブランド志向なのか、価格重視なのかなどを推測できます。顧客の感情も考慮して、顧客接点をマネジメントすることがCX戦略のポイントです。
もはや「運ゲー」ではない
CRMの時は、消費者に対して、確率論的に最適化された情報を提供することがポイントでした。CXの時代では、さらに、顧客の特徴を分析し、顧客をプロファイリングしながら、好みの情報を提供することがポイントです。言い換えると、プロファイリングするために必要なデータを取得できるようになったことがCX戦略ブームを起こしたといえます。
取得できるデータの質・量が変化するたびに、マーケティング戦略のトレンドは変化してきました。今ではデータサイエンスがマーケティング戦略を牽引しているのです。
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