1月24日イタリア大統領選に市場が注目するワケ 政治的安定の要であるドラギ首相に退陣のリスク

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ドラギ首相が大統領に転身する場合の、もうひとつの大きな問題は、首相退任時の議会解散の可能性だ。

支持政党を問う最近の世論調査では、かつての政権政党で中道左派の「民主党」、ドラギ政権を支持する右派ポピュリスト政党の「同盟」、政権不支持に回った右派ポピュリスト政党「イタリアの同胞」が20%前後の支持で拮抗している。総選挙後の政権発足には、上下両院の信任投票で過半数の支持を得る必要があり、いずれの政党も単独での政権発足は困難な状況にある。「民主党」と「五つ星運動」を中心とした左派会派も過半数には遠い。

解散・総選挙なら右派ポピュリスト政権に

政権発足が可能な唯一の組み合わせは、「イタリアの同胞」と「同盟」の右派ポピュリストが主導する右派連立政権と考えられる。つまり、次にイタリアで総選挙が行われる場合、EU(欧州連合)に懐疑的な右派ポピュリスト政権が誕生する可能性が高い。

投票権を持つ議員の間では、議会解散を警戒する声が多い。イタリアでは2019年の法改正と2020年の国民投票で次回の選挙から議員定数を約3分の2に削減することが決まっている。失職のおそれがある議員の間では、総選挙を回避したいとの思惑が働きやすい。

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