特急「ハローキティはるか」激レア運行の一部始終 価格はどう決めた?遅延に苦悩した本番当日

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運行ルートにもこだわった。今回は新大阪発天王寺行のツアーだがその乗車時間は実に約5時間40分。新大阪を発つと琵琶湖を車窓に見ながら東海道本線野洲へ。ここで網干総合車両所宮原支所野洲派出所と呼ばれる車両基地内にツアー参加者を乗せたまま入線し、基地内で折り返す。

その後、東海道本線、梅田貨物線、大阪環状線、阪和線と通常のはるか同様のルートで日根野へ。到着後は吹田総合車両所日根野支所へ入線。同基地内で折り返し、終点天王寺を目指すというJR西日本史上初となる営業列車での基地内運行を含んだルートを構成した。

このルート構成は「苦戦と調整の連続でした」(宮里氏)。中でも回送列車しか入線しない車両基地内に乗客を乗せたまま入線するには、関係各所の調整が不可欠だ。

特記すべきこととして、基地内の運転は通常回送列車専門のグループ職員が担当しているところを、今回は乗客がいるため旅客列車を運行する本線運転士が基地内の運転を担当。日根野支所については異常時に備えて、本線運転士が所内運転できるように訓練を行っていたが、さらに事前に線路の下見・訓練をして今回の運行に備えた。野洲派出所については野洲派出所を熟知する地元の草津列車区の指導者が本番運行時に添乗し、所内運転を行った。

至る所に「サプライズ」が

そして何より悩んだのが値段の設定だ。「両基地内入線体験などのプラスアルファについて、参考となる値段設定がまるでなかったので悩みました。最終的には体験ごとにどれくらいの満足度を提供できるかを考えて、それを足すようにして決定しました」と快活な答えが返ってきた。

今回のツアー料金は大人1万2800円(2人利用、1人参加の場合は2席利用となり1万4800円)、子ども1万0800円、1歳~小学生未満の幼児は3000円に設定。仮に今回の運行コースを特急列車指定席で利用したとすると合計大人9020円となり、これに加えて昼食として用意されていた駅弁代1400円(ハローキティ版ひっぱりだこ飯(大人食))と記念品等の値段を引いた差額がツアーにおける体験への「値段」となる。この価格で参加者に「とっておき」が届けられるか。ここが勝負だ。

長い道中には至る所におもてなしとサプライズを用意した。野洲派出所では現場職員のお出迎えに、現在JR西日本がソフトバンクと共同開発している自動運転BRTが車内から見学できるように調整。日根野支所では現場職員の歓迎に加え、洗車機の通過体験と271系の運転台に入っての記念撮影タイムを設定した。

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