撤退続く中国「学習塾」農業やアパレル転身の驚愕 政府の全面規制で8割が閉鎖、教育業界の現状
小中学生向け学習塾をドル箱としていた企業は、今後どうやって生き延びるのか。最も多いのは、海外留学や資格試験など大学生・社会人向けの事業の強化だが、短期間でシェアを獲得するのは容易ではなく、大手になるほどまったく別の異業種への進出を模索している。
新東方教育科技集団は教育コンサル、ソフトウェア開発、ロボット開発など次々に新会社を設立し、10月には北京に、生鮮食品・化学肥料を販売する子会社を立ち上げた。報道によると、全国の農村新興を掲げたECサイトも開設し、2021年12月28日には兪敏洪氏が農産品ライブコマースを開催。3時間で500万元(約9000万円)以上を売り上げた。
オンライン学習塾がアパレル企業を設立
テンセントなどメガIT企業が出資するオンライン学習塾大手の猿補導(北京猿力教育科技)は規制後に約4万人をリストラし、学校のDXを支援するコンサル事業に軸足を移した。その一方で、アパレル企業を設立し、世間を当惑させている。「猿服道」の商標を申請し、デザイナーも募集しているが、教育とアパレルにどんなシナジーがあるのか、新東方のライブコマース以上に不思議がられている。
楊さんは最近、海外に住む中国人の子どもたちにZoomを使って週に数回勉強を教えている。楊さんの塾は規制が及ばない海外在住の中国人子女へのオンライン教育を本格化させるつもりだという。大学院での修士論文のテーマも、「中国の塾の海外展開」にした。
教育産業だけでなく学校や子どもたちへの影響も計り知れない中国政府の規制に対し、自らも詰め込み教育で育った楊さんは、前向きに捉えている。
「日本も20年前にゆとり教育を導入して学力が低下したと言われているけど、中国人の私から見て、国民の教養は高く、マナーやルールもきちんと守っている。塾の力を借り勉強ロボットになっていい大学を目指すことが、必ずしも国のためになるわけではないという中国政府の考えは、日本に住んでいるからこそ理解できる面が多い」
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