国産初、災害対応キャンピングカーが変える未来 大雪や豪雨、台風、地震などの災害現場を想定

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NTB代表の蜂谷慎吾氏(写真右)と、⼀般財団法⼈ 日本笑顔プロジェクト代表の林映寿氏(写真左)(筆者撮影)

今回の発表会には、NTB代表の蜂谷慎吾氏と、当モデルを共同開発した災害復興⽀援団体「⼀般財団法⼈ ⽇本笑顔プロジェクト(以下、笑顔プロジェクト)」代表の林映寿氏が登壇した。僧侶でもある林氏が主宰し、長野を拠点とする笑顔プロジェクトは、2019年の発足以来、数々の自然災害における被災者の救済や現地の復興支援を行っている民間団体だ。大雪により道路上に取り残されたクルマ内の被災者救助をはじめ、記憶に新しいところでは、2021年7月の「伊豆山土砂災害」で、土石流が街を襲った熱海の復興活動を支援するなど、数々の実績を持つ。

今回、エクスペディション イーグルを共同開発した経緯は、NTBの蜂谷氏によれば、笑顔プロジェクトの活動を知り、同団体を訪問した際に聞いた復興支援現場における過酷な現状だったという。

復興支援を目的に開発がスタート

エクスペディション イーグルについて説明するNTB代表の蜂谷氏(筆者撮影)

蜂谷氏は、林氏や団体に所属するボランティアから、2020年冬に起きた北陸自動車道の雪害により、道路上の車両内に取り残された被災者を救助した際のエピソードを聞く。

「豪雪のため⾼速道路で立ち往生する数百台のクルマに残された⽅々を救援する際、ボランティア⾃⾝が現場と休憩施設との往復⾃体に困難を極め、結局は現場近くのトラックで寒さを凌ぎながら仮眠を取った」ケースがあったという。また、そうした支援活動では、キャンピングカーをボランティアの休憩場所として使う場合もあるが、「もう少し現場の近くで使いたい」「外履きのままで使⽤できれば」などの声が、多くのボランティアから寄せられた。

これらの声により、災害現場でも役立つキャンピングカーの必要性を感じた蜂谷氏は、海外で人気が高いエクスペディションビークルを作ることを思い立つ。従来ある一般的なキャンピングカーは、悪路走行が苦手で、被災現場の近くまで移動することが難しい。

また、室内は普通の家屋にあるリビングのような作りのため、泥や雪で汚れた長靴などでは出入りがしにくい。こうした被災時に弱点となる箇所を修正したキャンピングカーであれば、災害復興支援の現場で十分に役立つ。ましてや近年は、一般ユーザーからも被災時にキャンピングカーをシェルター代わりに使いたいという声が増えている。時代のニーズにマッチしていることも後押しし、国内では例を見ないまったく新しいジャンルのモデルを開発することになった。

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