ラオックスはいまや外国人でいっぱい ”14年連続赤字から黒字へ”羅怡文社長に聞く

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ラオックスは1930年に創業後、家電量販店として拡大してきた。が、価格競争や再編の波についていけず、2001年度に赤字に転落。その後創業家以外からも経営者を招いて立て直しを図るも、再建できなかった。09年に羅怡文氏が社長をしていた上海新天地(現・日本観光免税)が主要株主になったことに伴い、社長に就任。10年頃から総合免税店へと業態転換した。11年8月には中国最大の家電量販店の蘇寧電器が親会社になる。今年度は14年ぶりに最終黒字になる見込みだ。現在は国内の免税店運営、中国での店舗運営、日本製の商品を中国に販売する貿易仲介、の3つを柱にして経営を行っている。

 

ラオックスの炊飯器売り場も人気。「おみやげ文化」の中国では、母国にいる親族や知人の分まで”爆買い”する光景も珍しくない

 ――09年に社長に就任してから5年が経ちました。当時のインタビューなどをみると、「10年くらいには黒字を達成できる」という発言がありました。なぜ黒字化が遅れてしまったのですか。

当初我々は、3年くらいで再建したいと考えた。結果的に5年かかってしまった。私の社長としての力量が足りなかった。加えて外部要因も非常に大きい。この5年間で実際に仕事ができたのは2年くらいだ。免税をはっきり打ち出したのが2010年。だが、10年の後半と12年に尖閣問題、11年には東日本大震災があり、この3年間はビジネスができる環境ではなかった。

当然、14年ぶりの黒字は、よいことだ。しかし、企業として利益を生むには最低限のハードルをクリアしただけなので、喜ぶべきことかどうか分からない。

黒字も見えてきた。五輪までうまくいく

――ラオックスの再建に親会社である蘇寧電器から経営に関してアドバイスはあったのでしょうか。また、もし投資ファンドなどが御社を買収していたら、今のラオックスはなかったのではないですか。

 蘇寧電器は親会社として、赤字の時期も含め、ずっとサポートしてくれた。経営に関しては、ラオックスの役員には蘇寧電器の幹部がいるので、議論も起こる。ただ、ラオックスは上場企業なので、日本のマーケットをよく分かっている我々に任せてもらっている。蘇寧電器からはサポート面が大きい。例えばお金がないときに貸してくれるとか。そういうのがなかったら、今のラオックスはない。地震の後、我々が苦しんだ時も増資をしてくれ、常にサポートしてくれる。

 投資ファンドだったら、ここまでもたなかった。蘇寧電器はラオックスというか、日本の商品を求めていた。短期の利益やラオックス単体の利益ではなく、グループ全体の今後の発展の一つとしてみている。おそらく蘇寧電器でなかったら、ラオックスはなくなっているかもしれないし、その可能性は非常に高い。ファンドだったら、1回目はお金を出せるとしても、2回目は出さない。

――黒字が見えてきたが、この先の戦略は。

当面は、日本国内の店舗事業、中国国内の店舗事業、貿易事業の3本柱でやっていく。比較的成長しており、うまくいっている国内ビジネスは、まだまだ2020年の東京オリンピックまでに常に一本調子でいく。またオリンピック後も成長すると思っているので、しっかり立ち位置を理解して拡大する。中国のビジネスもこれから力をいれてやる。貿易ビジネスも今、少しずつスタートしているので、その規模も拡大する。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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