北朝鮮は「極超音速」ミサイルの発射試験を5日に行ったと明らかにした。同種のミサイル試射の発表は昨年9月以来となる。同国は米国やその同盟国による撃墜を回避できるよう設計された核弾頭搭載可能な兵器の開発を継続している。
北朝鮮の国営メディアは、今回の試験では前回の試射から著しい改善が示されたとしている。9月の試験では飛行が短距離にとどまり、配備を巡り疑問が生じていた。
朝鮮中央通信(KCNA)は6日、今回のミサイルは700キロメートル先に設置された標的に「誤差なく命中した」とし、「極超音速ミサイル分野での連続の試験成功は戦略的意義を持つ」と強調した。
労働新聞はミサイル発射時の写真を掲載し、国家の偉業だとたたえた。KCNAによると、弾頭部を意味するとみられる「極超音速滑空飛行戦闘部」がミサイルからの分離後に目標方向へ120キロを「側面機動」し、発射地点から700キロ離れた標的に命中したという。
最高指導者の金正恩朝鮮労働党総書記は、暗礁に乗り上げている米国との核を巡る協議を再開するよりも軍事力強化に関心があることを示唆していた。金総書記は約1年前、陸海空で核弾頭を運ぶ能力を開発するため最優先課題として掲げた新技術リストに極超音速兵器を含めていた。
カーネギー国際平和財団の核政策プログラムのシニアフェロー、アンキト・パンダ氏は、「北朝鮮の極超音速グライダーに対する関心は、ミサイル防衛システムを打ち負かすのに効率的だとの見方が理由の一つのようだ」と指摘。「金正恩氏は就任後、国防科学を強調してきた。極超音速ミサイルは高度な技術だと受け止められており、こうした兵器を開発中の小さいながらも増加しつつある国のグループに加わりたいようだ」と分析した。
北朝鮮は昨年9月末、極超音速ミサイルの発射実験に成功したと発表し、戦略上極めて重要な武器が加わったと宣言していた。北朝鮮当局が「戦略的」価値があるとする武器は通常、核弾頭の搭載を意図する。
韓国軍は9月のミサイル飛行距離は200キロ程度で、極超音速兵器の開発はまだ初期段階にあるもようだと分析していた。
岸田文雄首相は5日、「昨年来、北朝鮮が連続してミサイルを発射しているということは誠に遺憾」だとし、「政府としてはこれまで以上に警戒監視を強めていきたい」と話した。中国外務省の汪文斌報道官は同日の定例記者会見で、中国としては全ての当事者に分別ある行動を促し、話し合いに向けた正しい方向にとどまるよう求めるとコメントした。
北朝鮮が弾道ミサイル発射、EEZ外に落下-昨年10月以来 (5)
米インド太平洋軍司令部は、北朝鮮の弾道ミサイル発射について、同国の違法な武器開発プログラムのかく乱的影響を示すものだとコメントし、同盟国と緊密に協議しているとした。
原題:North Korea Says It Tested Hypersonic Missile for Second Time(抜粋)
(北朝鮮メディアの報道内容や専門家のコメントを追加して更新します)
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著者:Daniel Ten Kate
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