イオン、3―8月期は41%もの営業減益 通期予想達成は高いハードル
上期は大幅減益となったものの、2015年2月期の連結営業収益は前年比9.5%増の7兆円、営業利益は同16.7─22.5%増の2000─2100億円の見通しを据え置いた。
通期計画達成には、下期は1500億円以上の営業利益が必要となる。前年度下期は1000億円弱の営業利益だったことや、消費増税後に消費マインドは慎重になっていることなどを考えると、通期業績見通しの達成は、ハードルの高い目標となっている。
若生CFOは「上期の状況に加え、さらなる消費税引き上げ懸念もあり、通期の利益予想はチャレンジングで相当な努力が必要と認識している」とした。そのうえで、GMSの課題は客数減だと指摘。グループのプライベートブランド「トップバリュ」の取り扱いを増やすほか、7月から実施している購買頻度の高い商品の値下げの対象拡大、ダイエー との共同セール開催など価格政策を強化する。
トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト15人の営業利益予測平均値は1765億円で、会社予想はこれを上回っている。
建築費高騰で一部投資を見送り
国内で建築費が高騰していることから、一部国内の大型ショッピングセンターの建設投資をしばらくの間見合わせるなど、投資を見直す。「イオンモールだけで数百億円規模の先送りをする」という。ただ、イオン関係者によると、15年2月期の出店はすでに固まっており、来期以降になる見通し。
投資については、優先順位の高い事業構造改革、デジタルシフト、アジアシフトへ傾斜配分を行う。
消費再増税については「先送りすべきだとは思わない。(小売業という)立場だけを考えれば、(再増税は)ないに越したことはないが、先送りされることもないと感じており、そういうことを期待しても無駄だ」とした。
そのうえで、「全てのものの価格が上がり、生活は苦しくなっている人が多い。次の消費税引き上げ時には、価格競争は熾烈になる」との見通しを示した。
同社は、純粋持株会社に移行して6年が経つ。岡田社長は「事業を重視し、各事業が現場主義、店に重点置く体制に切り替える」とし、事業会社であるイオンの人員440人、イオンリテールの人員1500人をそれぞれ半減させる方向性を示した。イオンは財務、人事、M&A、環境、ブランディングなどの活動に集約させる。
また、地域での競争優位性を確保するため、スーパーマーケットは地域密着し、戦える規模に集約していくという。一方、GMSは、地域密着が可能な大きさに分権化・再編をしていく。
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(清水律子)
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