東海道新幹線、「50周年」が意味する未来 日本の絶対安全な超特急は海外へ(動画あり)
「出発よし!安全よし!」。
駅係員がそうアナウンスし、ドアが閉まると、いつもより長い警笛オンを鳴らしながら、東京駅6時発博多行の「のぞみ1号」が、多くの関係者や鉄道ファン、マスコミに見守られながら、徐々に速度を上げていく。
2014年10月1日。新幹線の開業からちょうど50年目を迎えた日の出発式の様子だ。いつもは14番線から出発するのぞみ1号だが、この日は特別に開業当時と同じホーム(現19番線ホーム)からの出発となった。50年前の車両はだんご鼻の0(ゼロ)系だったが、この日は最新鋭のN700Aがその任にあたった。場所は同じでも、50年の進化を感じさせる。
出発前の式典で、JR東海の柘植康英社長は、無事50周年の日を迎える事ができたことに対し、お礼の言葉を述べるとともに、「東海道新幹線は日本の技術の代表であり、日本の技術の粋を集めた車両。また、経済、社会、文化の発展に、大きく寄与・貢献してきた」と述べた。
50年間、のべ56億人が乗車
開業当時、東京―新大阪間を最高時速210キロメートル、3時間10分(開業時は4時間で、2年目から3時間10分に)で走行し、東京-名古屋-大阪圏を日帰り出張圏に変えた。ビジネスのあり方を劇的に変化させただけでなく、東京から京都・大阪、京都・大阪から東京への観光のハードルも下げた。「夢の超特急」は、いままでできなかった夢を叶える列車だったといえるだろう。
東海道新幹線の50年間ののべ乗客数は約56億人。今は1日平均42万人が乗車する。1日400本以上走行する日も多い。最短3分間隔で次々に列車が出発する姿は壮観だ。国鉄が民営化、JRが発足してから、大規模な設備投資が実施され、車両の新造と同時に所要時間の短縮を実現。現在では東京-新大阪間を2時間25分で結ぶ。2015年春には最高時速285キロメートル運転が始まり、さらなるスピードアップが期待されている。
式典で柘植社長は、「新幹線こそ日本の技術の結晶」と誇った。開業当初から時速200キロメートル以上でも安定・高速輸送ができる車両や設備を造り上げただけでなく、ATC(自動列車制御装置)という、これまでにない信号・保安システムを構築、「絶対に事故を起こさない超特急」を完成させた。最新鋭のN700A新幹線には、さまざまなセンサで車両の状態を常に確認し、安定走行やブレーキ力向上を図り、省エネルギーで乗客に快適な走行を実現させている。「大企業から小さな会社まで、その会社でしかできないような素晴らしい部品をいろいろ造ってもらっている。小さなバネやコイルなど、縁の下の力持ちがたくさんあっての新幹線」(柘植社長)と、力強く語った。
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