(株式市場)”官製”の株式買い取り機構が大改革【1】

外国人の買いが牽引車となったが、結局は「民」の力で株価は反転した。とはいえ、まだ先安感も根強く残る中で、「官製」の株式買い取り機構の機能が大幅に見直された。株式需給の点では、プラスであることは間違いない。買い取り機構の名は「銀行等保有株式取得機構」。2002年1月に政府の肝いりで創設された。
 去る7月25日、同取得機構の根拠法である「銀行株式保有制限法」改正案が参議院を通過、成立した。8月にも施行される。2001年11月に制定された保有制限法は、その名の通り銀行の保有株式を制限する法律。制定の狙いは株価の下落に翻弄される銀行から、株価変動リスクを切り離すことにある。同法では、2004年の9月末までに、銀行の保有株式をTier1(BIS自己資本比率のコア資本)以下に抑えることを定めていた。同法が施行されると、銀行が大量の株式を売却せざるを得ないため、株式の需給が悪化する。これを防ぐ受け皿として、設立されたのが保有機構だった。
 だが、金融機関が株式を売却する際、売却額の8%を売却時拠出金として拠出しなくてはならず、拠出金は機構に損失が出た場合の補填に使われることになっていた。このため株価変動リスクが銀行から切り離されたとは見なされず、BIS自己資本比率上もリスク資産の減少にはならない(つまり比率が上昇しない)という欠陥を抱えていた。その後、2002年11月からは日本銀行が銀行からの株式の買い取りを開始したもあり、取得機構の買い取り額は、買い取り限度額の2兆円に対して、この4月でわずか2181億円にとどまっていた。
 今回の主な改正点は、4つある。
【1】8%の売却時拠出金の廃止、【2】新BIS規制の施行が延長されたのに合わせて、株式の保有制限の期限も2006年3月末まで延長、【3】保有機構の存続期間を5年間延長し2017年3月末までとする、【4】一般事業法人が保有する銀行株の買い取りは、その銀行が保有機構に売却したその事業法人の株式の2分の1とするルールを撤廃する。
 こうした改革によって、銀行は拠出金の負担から解放されるのに加え、株式も完全に銀行のバランスシートから切り離されることになる。
 与党の「金融政策の関するプロジェクト」のメンバーで、金融問題に詳しい江崎洋一郎衆議院議員(保守新党)によれば、今回の見直しの背景はこうだ。
 「そもそも銀行は、2つの大きなリスクを抱えている。一つは不良債権、もう一つは株価の変動。この二つが解決しないと、銀行の健全性は回復しない。構造改革という大きな流れの中で、不良債権を積極的に処理させて体力が衰えた銀行に、株のリスクも解決させるには限界がある。構造改革は金融機関にも負担がかかるので、若干の激変緩和措置を設けてもいいということです。
 8%の拠出金を廃止すると、日本銀行や市場への売却と同じ条件になり、保有機構も活用しやすくなるということで決断しました。平成13年(2001年)に、国会で株式保有制限法を審議していたときには、銀行が市場で売却する必要のあるTier1以上の株式は11兆円あり、期限までの3年間で毎年3兆円づつ市場で売却したらどうかということでした。そうすると2兆円お尻が残るので、機構の買い取り額として2兆円を設定した。つまり、機構は激変を緩和するセーフティネットの役割という位置付けです。今後も、銀行は市場、日銀、保有機構に売ることができる。どうするかは銀行が決めることです。保有機構が活用されないで、市場で消化されてもいい。ただし、株価が(持合の解消などで)急激に下がると困るので、保有機構がセーフティネットの役割を果たせるように、改正を行ったわけです」。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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