なぜ日本郵便は、セゾン投信に出資するのか ゆうちょ側はPRだけ、手数料収入もゼロ

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目下、直販投信会社の悩みは、知名度などの点から、販売がなかなか伸びないことだ。

日本郵便が今回提携するセゾン投信は、その中では地道な販売を続け、2本のファンドで1000億円近くまで純資産残高を積み上げる健闘ぶりを見せている。だが、それでも公募投資信託のうち、セゾン投信のような形で直販を通じて販売されている投資信託の純資産残高は約5.4兆円。85兆円という投資信託全体の純資産残高のうち、わずか0.64%に過ぎない。

投信が個人の「本当の資産形成手段」になる時

セゾン投信の親会社、クレディセゾンの林野宏社長は「セゾン投信の顧客数7万人、純資産残高1000億円を、中期的には70万人、1兆円にしたい」という。運用面でのスケールメリットなどが働く1つの目安は、業界では1兆円規模とされているからだ。

現段階では、投資信託は金融機関の手数料稼ぎのツールにとどまる。だが、今回の日本郵便とセゾン投信の提携は、こうした流れが変わることを感じさせるものだ。セゾン投信のような直販投信会社が1兆円規模のスケールを達成した時、投資信託は、本当の意味で、個人のための資産形成手段になるはずだ。
 

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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