出品が完了するまでに他サービスでは3クリック遷移しなければならなかったものを、フリルでは1クリックで完了。支払いに関してはエスクローの仕組みをいち早く導入するなど、良質なユーザー体験の提供に務めてきた。
「フリルのユーザーはファッションが好きな方が多く、ファッション関連の取引が全体の7割を占めます。比較的時間のある大学生や主婦の方、職業柄洋服をたくさんもっているショップ店員の方が利用ユーザーに多く、出品を通したコミュニケーションを楽しんでいる印象があります」
可処分時間が比較的あるユーザー層が多いようだ。あまり時間がないであろうキャリアOLの利用率は低いとのこと。モノを売って配送する手間もかかるため、忙しいユーザーにとっては、コミュニケーションコストが発生するフリマよりも、買い取りの相性が良いだろうと堀井氏は語っていた。
「ユーザー獲得においては広告も打っておらず、口コミが一番大きかったです。ファッション誌の専属モデルの方らブログで記事を書いてくれて、多くの新規ユーザーが流入してきたこともありました」。お金をかけずにC向けサービスを伸ばす際に、口コミは侮れない。
フリマアプリは1000億円市場へ拡大
フリマアプリ市場はメルカリとフリルの月間流通総額を合わせると2014年9月時点では最低15億円程度。年間換算すると180億円となるが、遠くないうちに年間1000億規模の市場には拡大すると堀井氏は踏んでいる。そうした中で、フリルは、2015年の年間流通総額200億円を目指している。ちなみにオークションのヤフオクは年間取引高が約7000億円。C2C市場自体が成長市場であり、規模もそれなりにあることから、この数字は筆者にも納得感がある。だが、課題もまだまだありそうだ。
「フリマアプリの認知度はまだまだ低いと思っています。不要な服を売る際にはまずは古着屋に持っていく人がまだまだ多く、フリマアプリは市民権を得ているとは言い難い。顔の見えない人との取引に不安を感じる人がまだまだ多い。いかにフリマアプリを利用する敷居を下げていけるかが最大の課題です」
「顔が見えない不安」の払拭に一役買っていると思われるのが、フォロー/フォロワー制によるSNSのような世界観だ。「ユーザーによっては数万人単位のフォロワーがおり、フォロワー数の多いユーザーは出品すると1時間以内にすぐ売れてしまうことがよくあります。DECOLOGやクルーズブログなどの人気ブロガーが出品してくれており、ファッションを介した緩いつながりのあるコミュニティサービスのような側面もあります」。
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