時速500キロ!リニア「本物」に乗ってきました メディア限定、山梨実験線試乗レポ(動画あり)
さて、記者やカメラマンは各々、車内に入った。
内部は左右2列ずつの4列シート。座席は新幹線普通車よりやや広いくらい。巨漢の外国人なら2席分必要か。ちなみに、車両全体の幅は9メートル、高さは3.1メートル。JR東海によれば、まだグリーン車などの座席構成は「未定」としているが、これなら左右どちらかを1列にするのもありかもしれない。
やがてアナウンスが始まり、リニアが動き出した。最初はタイヤによる地上走行。スピードがアップし、時速160キロメートルになると、タイヤが車内に格納され、浮上走行に移行。改めて説明するが、リニアとは、車両に搭載した「超電導磁石」と「地上コイル」の間の磁力によって、車両を10センチメートル浮上させ、超高速で走行する。
が、流れる景色を満喫できたのは、ほんの一瞬。8割以上はトンネルだからだ。これは実際の営業区間も同様である。
さらに言えば、窓も小さく、とても富士山を楽しむなどという風情ではなかった(窓を大きくとると車両の軽量化に逆行するため)。外は闇で、記者たちの目は、必然的にモニターに集まった。
時速500キロで揺れは?
時速200キロメートル、300キロ、400キロ……。すでに新幹線を超え、498、499、500キロメートル――「バシャバシャ!」と、その瞬間、カメラのシャッターを押す音が一斉に鳴り響いた。ただし、一般観光客ではないため、歓喜の声はなく、みな無言。冷静にシャッターを押し続けているのは、記者という職業の悲しい性か。
時速500キロメートルに達しても、正直、”夢の世界”というほど、圧倒的な実感はなかった。スポーツカーのような加速力や、航空機のような浮力を、事前に想像していたからかもしれない。だが裏を返せば、それだけ自然な乗り心地を体現できるまで、技術が進化していったということだろう。
ふと、座席のテーブルに置いたペットボトルのお茶を、何度も眺めてみた。水面の揺れはそれほど大きくない。普通にメモもとれる。これなら新幹線ともさほど変わらず、在来線の方がよっぽど揺れる。航空機と明らかに違うのは、シートベルトがないところだ。
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