ジャパンマリンは、どんな造船会社を目指す? 三島社長が語る戦線拡大を進めるワケ

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――そのための再編だったのですか。

その通り。新しい船にチャレンジしようとしたら、膨大な労力、エネルギーを要する。再編前のユニバーサル、IHIマリンの時代には、マンパワーと建造キャパシティが限られ、新しい船に挑戦するには限界があった。

しかし、今回の再編により、もっと幅広い領域で戦える態勢が整った。新会社の設計陣は1000人規模にまで増え、国内の造船会社としては三菱重工業の造船部隊と並んで断トツだ。これだけのマンパワーがあれば、新しい船にも積極的にチャレンジできる。造船所の数も増えたので、8隻、10隻単位が当たり前のコンテナ船の大口発注にも対応できるようになった。

日本の海運会社のニーズに応えられる会社に

――なぜ、大型LNG運搬船、メガコンテナ船、自動車運搬船なのですか。

大きな需要が期待される分野だし、日本の海運会社のニーズを考えた場合、この三つが足りなかったからだ。世界で活躍している日本の海運会社に対して、今までは大型バラ積み船、大型タンカーといった一部の船種しか供給できず、非常に情けない思いをしてきた。この三つの船種が加わることで、ラインナップが完全にそろう。「日本の海運会社のみなさん、これからは当社がすべて対応できます。韓国や中国に発注する必要はありませんよ」と、やっと胸を張って言える。

――大型LNG運搬船をはじめ、いずれの船も今年春までに受注へとこぎ着けました。現在の進捗状況は。

何とか受注はできたが、逆に言えば、まだ受注しただけに過ぎない。今は設計作業の段階で、大型LNG運搬船を例に取ると、実際の鋼材加工に着手するのは来年夏。全力を挙げていい船を造り、約束した納期までにお客さんに引き渡す。コストも計画したとおりに収めないといけない。そういう意味では、これから本当の実力が問われる。

――こうした船種拡大戦略の結果として、どのような造船会社を目指すのですか。

国内においては、質・量の両面において、圧倒的な存在感を持った造船会社を目指す。また、民間分野だけでなく、防衛省と海上保安庁のニーズにもきちんと応えて、国に貢献していく。

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