ジャパンマリンは、どんな造船会社を目指す?

三島社長が語る戦線拡大を進めるワケ

みしま・しんじろう ●1949年生まれ。73年、大阪大学工学部機械工学科卒、日本鋼管入社。96年、船舶・海洋技術部長。2002年、日本鋼管と日立造船の造船事業統合で発足したユニバーサル造船の経営企画部長に。08年、同社社長。13年1月、IHIマリンユナイテッドと合併し、ジャパンマリンユナイテッド社長(現職)。
かつては質・量ともに世界をリードした日本の造船業界。すでに量では韓国、中国に抜かれ、建造量シェアは2割程度にまで低下。業界全体としても、2000年代から続いた造船バブルが終焉を迎え、厳しい淘汰の時代を迎えている。
こうした中、大きな注目を集めているのが、2013年1月にJFEホールディングス、IHIの造船事業統合で誕生した、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)だ。「週刊東洋経済」9月13日号でも報じたように、建造量で今治造船に次ぐ国内2位となった同社は、再編を機に新たな船種に次々と参戦し、戦線拡大を強力に推し進めている。三島愼次郎社長に、日本の造船業を取り巻く環境や戦略の狙いなどを聞いた。

「絶対的な規模」と「市況に左右されない安定性」

――再編を機に大型LNG運搬船をはじめ、超巨大コンテナ船、自動車運搬船といった新たな船種に進出しました。なぜ今、戦線拡大を急ぐのですか。

リーマンショック前までの造船好景気時に韓国、中国勢が設備拡張に走った結果、造船産業は今、全体としては極端な供給能力過剰となっている。需要に対して供給力が倍以上もある異常な状況だ。こうした構造問題がある以上、しばらくは厳しい過当競争が続く。新たな船種へのチャレンジは、大淘汰時代を勝ち抜くための経営戦略だ。

――具体的にいうと?

勝ち残るためにはいくつかの必要条件がある。技術力は当然のこととして、絶対的な規模が必須になる。造船会社が研究開発にかけられる金額はだいたい売り上げの1%程度。ある程度の売り上げ規模がなければ、省エネ船の研究など将来のための研究開発は難しい。また、バイイングパワーを得るためにも、規模の追求は絶対に必要だ。

もう一つ大事なのは、特定の船の市況に左右されにくい安定した経営基盤。日本の多くの地場造船会社のように、バラ積み船(石炭・鉄鉱石や穀物の運搬船)など特定の船に特化して、その分野でコスト競争力を磨くのも一つの生き方だとは思う。しかし、特定の船に依存すると、その船の市況次第で経営が大きく左右されてしまう。

当社は得意分野の異なる、ユニバーサル造船とIHIマリンユナイテッドの経営統合で建造船種のラインナップが一挙に広がったが、それで満足はしていない。大きな需要が期待される大型LNG運搬船やメガコンテナ船などにも戦線を広げ、それぞれの船種でまとまった量を取りに行く。こうした独自の拡大戦略によって、さらなる規模の追求と、安定した経営基盤の確立を確実なものにする。

次ページ3つの船種に参入するわけ
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