TOTOが切り込む苛烈なキッチン争奪戦

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 高価格帯にも変化が起きている。これまでは三層構造シンクなど独自の作り込み技術を武器とするトーヨーキッチンの牙城とされてきた。が、近年は新築向けの受注激減を受け、本来の業務のみならず、自社独自のオーダーメードキッチンを作る工務店が増える傾向にある。

TOTOなど大手が主戦場としてきた中価格帯はさらに厳しい。低価格帯や高価格帯の領域へ“越境”する動きも出てきた。

越境進める総合大手 専業は付加価値勝負

INAXは4月、賃貸住宅向けに低価格の新型キッチンを投入した。シンクやコンロなどユニットごとのリフォームが簡易な設計を取り入れ、20年周期とされる大規模リフォームの狭間に発生する「プチリフォーム」需要を取り込み、顧客の囲い込みを図る戦略だ。

パナ電工は「仕出し弁当とフランス料理フルコースの2正面作戦」(北野亮常務)と言うとおり、低価格帯と高価格帯双方の取り込みを狙う。ホームセンターや家電量販店ルートで低価格品を展開する一方、現行の「リビングステーション」よりも1ランク上の価格帯に新シリーズを投入する計画も同時に進める考えだ。

ただ、こうした多面展開ができるのは、低価格キッチンで赤字が出ても他部門で補える総合大手だけ。タカラスタンダード、クリナップなど専業大手の場合、そうはいかない。「清掃性などホーローキッチンの良さを従来にも増して訴求していく」(タカラの渡辺岳夫社長)、「主婦の困り事を解決するという従来からの開発方針を貫く」(クリナップの藤原亨執行役員)と、あくまでも中価格帯の付加価値勝負にこだわる。

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