年1000人超の子どもが行方不明!日本の驚く現実 「ミッシングチルドレン」親たちの苦悩
難波のチラシ配りに集まったのは、友梨さんの両親のほか、これまで一緒に取り組んできたNPO法人「あいうえお」(同府貝塚市)のボランティアや大阪府警の捜査員ら総勢約30人。終了後、永明さんにコメントを求めると、
「取材のほうはお断りしています。どちらの(メディアの)会社でもご勘弁ください。事情がありますので帰ります。失礼します」
と語り、足早に立ち去った。
取材に消極的な背景に「詐欺被害」
発生以来、吉川夫妻の支援活動を続けてきた同NPO法人の郡山貴裕事務局長(60)は、永明さんが取材に消極的な理由についてこう説明した。
「お父さんがメディアの取材を断るようになったのは、詐欺被害に遭ったと報道されたときからです」
永明さんは事件発生の翌月から4年以上にわたり、「友梨さんの居場所を知っている」などと近づいてきた男女2人に総額約7400万円をだまし取られていた。しかし永明さんは警察にもその事実を伝えることなく、2008年12月に発覚。この男女2人は詐欺容疑で逮捕、起訴され、後に大阪地裁は懲役9年の有罪判決を言い渡した。2011年には、インターネットの掲示板に「(友梨さんを)殺害した」と書き込んだ20代の男も逮捕されている。
郡山事務局長が続ける。
「発生当初、NPOのホームページにお父さんの手紙を掲載していたのですが、その文章に少しずつ異変を感じました。ちょうど詐欺被害に遭っていたころで、精神的にかなり参っているようでした。以来、他人への不信感が強まり、メディアからの取材はすべて断っています」
子どもが行方不明になって負った心の傷に、塩を擦り込むかのような誹謗中傷や詐欺行為。二次被害、三次被害とその傷口が広がるうちに、誰を信用してよいのかわからなくなる。そんな折れた心にむち打つかのように、街頭に立って頭を下げる。
もうそっとしておいてほしい――。
「失礼します」
と右手を上げて遮るように立ち去った永明さんの姿が、そんな声なき声を発しているように聞こえた。行方不明児の親たちの苦悩は続く。
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