バイデン政権ピンチ「アメリカ中間選挙」の行方 残り2年の政権運営を左右する重要な選挙に

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さて、ネオコンサバティブ(ネオコン)や新保守主義、新保守派と言われる人たちがなぜ〝新〟保守かというと、もとからの、本来の保守ではないからである。

ネオコンは、もともと民主党側にいたグローバリスト。それらが冷戦終結とともに共和党側にも移ってきた。社会主義、共産主義の社会実験の失敗から共和党側に移って、共和党政権下でグローバル経済の枠組みを作ろうとした。これがネオコンのルーツだ。

このネオコンと古い共和党の保守が合体したのがブッシュJr.大統領以前の共和党。ところがトランプを嫌ってこの中間派とでも呼ぶべきグローバリスト勢力は、ほとんど民主党側に移った。ネオコンがいなくなった共和党は、より古い保守主義に先祖返りした。

そのため、冷戦前の共和党と民主党、この構造体にいまアメリカが二分されていると考えていいだろう。この構造は、米中の新冷戦の深まりとともに、一層はっきりしてくるかもしれない。

トランプのほうが経済政策的にはバイデンより「左派」

マルコ・ルビオ上院議員など共和党内でも右派と言われる人たちこそが、真の保守派と呼ぶに相ふさわしい。一方、政治的には右派でも経済的には左派色の強い人も多く、その象徴がトランプ前大統領なのである。実は、バイデンとトランプの経済政策にはそれほど違いはない。アメリカ製造業の復活をめざす点は共通しており、むしろトランプのほうが本来の左派的政策と言えるかもしれない。

対中国の観点から強いアメリカが求められているのは明らかであり、製造業を軸とした産業構造の強化、そしてアメリカ国内でモノを作る体制の再構築、この2つの方針を共和党はより一層強く推進してくることが予想される。

民主党は、中間派の人たちがどう動くか、そして極左の勢力がこれ以上拡大するのかが鍵になる。カマラ・ハリス副大統領のような極左勢力が必要以上に拡大すると、アンチを生み出して排除の方向に進むのが、これまでのアメリカの歴史である。そこを共和党の親分・トランプに付け込まれる可能性は十分にある。

トランプ大統領が敗北した2020年のアメリカ大統領選挙を振り返ってみよう。

トランプは優勢に選挙戦を進めていたが、後半になり大逆転劇が起きた。波瀾の原因は郵便投票だ。当日の投票分から順次開けていき、最終的に期日前投票、郵便投票を開けていった。結果逆転したというのが答えであって、郵便投票における民主党票の割合が非常に高かったことがわかる。

このアメリカの郵便投票制度は不正が行われやすい。また、民主党には労働組合などの組織票の強さがあり、この2つが結果を左右した。

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