バイデン政権ピンチ「アメリカ中間選挙」の行方 残り2年の政権運営を左右する重要な選挙に

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投票日の問題などの陰謀論などもささやかれたが、それ以上に、制度的に不正がしやすい環境であったと言える。これを当時のトランプ大統領は選挙前から把握しており、制限をかけようとした。公正な選挙への挑戦という根深い問題でもある。

ところが、アメリカ合衆国では、それぞれの州法に基づいて投票が行われ、州によって票のとりまとめ方式、郵便投票の是非が異なる。そのため、民主党の首長がいる地域では、民主党に有利とされる郵便投票が積極的に認められてしまうなど、連邦政府による統一的な不正防止策が機能しなかった。

また、アメリカの選挙制度では有権者登録をして投票権を得る仕組みになっており、2020年の大統領選ではすでに死亡した人まで有権者登録されていた事実もあり、選挙制度そのものの信頼性を揺るがす結果になってしまった。

もちろん、仮に死亡者を有権者登録できても、実際に投票行動ができるわけがなく、そのような不正は効果を発揮しないはず。ところがこの虚偽の有権者登録が郵便投票とセットになると、「死者の票」が大統領候補の生死を決する結果となる。

「選挙人総取り」システムの問題点

勝てば官軍。この結果を受けて、アメリカの共和党支持者も一部の民主党支持者も、選挙が不正であるという理由で、誕生したバイデン政権をいまだに否定している状況にあり、これがアメリカの

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アメリカ大統領選の問題は以前から指摘されていた。そもそも2016年のトランプvs.ヒラリーでも、純粋な得票数ではヒラリーが6584万4954票、トランプが6297万9879票で、ヒラリーが上回っていたことはよく知られている。

州ごとの集計で1票でも上回ったほうが選挙人を総取りする「ウィナー・テイクス・オール」という原則があるためにこのような事態が起こる。それは合衆国という政体の特質と言ってよく、そうしたシステムを考慮して各陣営は選挙戦を組み立てていくわけで、多数の票を獲得した者がつねに勝者ではない。

もちろん、バイデン陣営が不正な行為で票の水増しをしたのであれば民主主義の自殺行為であり、負けた側は笑顔で勝者を讃える「グッドルーザー」になれるはずがない。そこに分断の原点がある。2024年の大統領選挙も当然、同様の事態は想像できるわけで、選挙システムを理解したうえで、報道にも注意を払わなければならない。

渡邉 哲也 作家、経済評論家

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わたなべ てつや / Tetsuya Watanabe

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年、『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行なっている。『「お金」と「経済」の法則は歴史から学べ!』(PHP研究所)のほか、『パナマ文書』『ポスト平成ですごいことになる日本経済2.0』(以上、徳間書店)、『貧者の一票』(扶桑社)、『メディアの敗北』(ワック)など著書多数。最新著は、『「米中関係」が決める5年後の日本経済』(PHP新書)。

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