都営地下鉄からメトロへ交代、「くまでん」の主役 運行時間拡大やバスとの連携で利便性高める

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縮小

ちなみに利便向上策のもう1つは運転時間帯の拡大だ。ダイヤ改正前、熊本電鉄は縮小均衡に傾いており、終電が藤崎宮前発20時15分であった。電車・バス共通定期券が用意されているので、朝は道路混雑を避けて電車を利用する人も、帰宅は繁華街から距離を置く藤崎宮前駅へ行くのが面倒で中心部からバスに乗る。そうした使い分けがあり、終電が早かったのである。

それを2時間繰り下げ4本増発し、P&Rや駐輪場整備の施策などと組み合わせて誘客を図った。また、朝の御代志発始発電車も1本増発により15分早めた。これで北熊本での上熊本線接続が1本早くなり、以前のバス利用よりも30分早く上熊本に到着できるようになった。この電車の利用は主に通学の高校生であり、朝の活動に参加しやすく、という要望に応じたものだった。

須屋を過ぎると郊外の雰囲気で、小山に囲まれた緑の中に入っていくと同時に、木製架線柱がコンクリートに変わった。そこから黒石駅の先までは、並行する国道387号を拡幅するため2001年2月に線路移設を行った区間であるからだ。距離は1.7kmほど、最大で東へ140m振っているので、完全な新線化に等しい。線路も全部PC枕木に統一されている。ただ、もうその切り替えから20年が経過しており、当然ながら旧の線路は道路に呑み込まれてしまったので、電車から見ている限り、付け替え地点の明確な判断は難しくなっているようだ。

終点御代志は区画整理で新ターミナルに

この新線区間にある三ツ石駅も、注目したいポイントである。線路切り替えと同時に、付近の利便を高めるために新設された。ちょうど九州自動車道との交差地点にあり、ホームの一部は高速道路の盛土下に突っ込んでいる。そのような立地から、近年は新しい役目が期待されるようになったのだ。すなわち高速バスとの連携である。

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福岡―熊本間には高速バス「ひのくに号」が、1日約70往復運転されている。一方、その高速バスの熊本アクセスは市街からかなり離れた益城熊本空港IC経由で大回りする。そこで三ツ石駅に近い西合志バス停を利用すると、下道走行と迂回の分が短縮されて所要時間が短縮できる。「福岡ー西合志間+電車」という企画乗車券も販売している。

ただ、三ツ石駅と高速バス停の間に徒歩で8分ほどの距離があり、住宅地をくねくねと辿らねばならないため利用は1日平均数人といった模様である。

その先では、終点の御代志付近が近々に変化する。合志市の区画整理事業が、ようやく工事段階に入ってきたのだ。国道387号を拡幅するとともに新たな駅前広場・ロータリーを作り、その前後に公園や交流施設を作る。そのため熊本電鉄の線路は約80m東側に新線を敷き、御代志駅を約200m南に移すという計画である。移設時期は当初2022年4月と予定されたがやや遅れ、今は同年内と見込まれている。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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