都営地下鉄からメトロへ交代、「くまでん」の主役 運行時間拡大やバスとの連携で利便性高める

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熊本電鉄の営業用電車は全8編成ある。目下最新の元東京メトロ日比谷線03系の03形は、2018〜2020年度に計3編成が導入された。車体に変化は少なく日比谷線当時の姿をしっかり残すが、御代志方の車両は電動車化されパンタグラフを搭載する。前面床下に排障器も取り付けている。

03形導入により数を減らしたのが、以前の主力車両だった都営地下鉄三田線車両の6000形で、5編成があったうちすでに3編成がなくなり、現在は2編成。とは言え、車両計画としては6000形3編成を03形3編成で置き換えたのではない。以前はほかに南海電車を出自とする200形が1編成だけあったので、6000形2本と200形1本が03形導入による代替廃車であった。そして6000形3本目の廃車は最近の2021年10月で、これについては、2022年早々に搬入予定の元静岡鉄道1000系が代替の新形式車両となる。

静鉄1000系は、2023年度にもう1本の導入を予定しており、それにより6000形はさらに1本が廃車となり残り1本となる。しかし、以後の車両計画は未定であり、廃車の部品で予備品も確保できるため、その6000形は差し当たって以後も残ることになる。

ブームになった全国最後の青ガエル引退劇

基本的に上熊本線に運用されるのは、2015年に導入された元東京メトロ銀座線車両の01形で、2編成がある。元来は第三軌条集電だった電車にパンタグラフを載せており、さらに小型で他車より細身の車両のためドア部にステップが張り出すなど、銀座線時代との変化が見出せる。「くまモン電車」にラッピングされている。

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この01形導入によって引退したのが元東急の「青ガエル」こと5000形で、2両在籍したうちの最後の1両が2016年2月に営業を退いた。ところが、その5101号は今でも北熊本の車庫に姿を見ることができる。事業用車として残されているのだ。その顛末は話題に富んだものとなった。

大都会東京と地方都市の熊本では鉄道に接する機会が異なり、当初、当地の人々の多くはその存在すら知らなかった。ところが、「青ガエル」は鉄道技術上大きなエポックを築いた車両であるとともに、そのニックネームを頂戴するほど親しまれた。その全国最後の1両である。渋谷ハチ公前に置かれてテレビ画面上にもよく登場する電車(現在は秋田県大館市に譲渡)と同じと知った熊本のテレビ局が、廃車までの約1年を追跡取材し、廃止数カ月前に放映をした。すると他のマスコミも追随してあっという間に知れ渡り、ブームと言える状況となった。

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