自動運転バス内で問診、スマート医療の現在地 病院と連携、実証実験中のヘルスケアMaaSとは
今回、実証実験に使われる自動運転バスは、フランスのナビヤ(NAVYA)社で製造している「アルマ(ARMA)」だ。マクニカで輸入販売する同モデルは、自動運転専用車のため、一般的な車両にあるハンドルやアクセル・ブレーキといったペダル類に加え、運転席さえもない。車体サイズは全長4.75m×全幅2.11m×全高2.65mで、いわゆるマイクロバスと同等の大きさだ。
乗車定員は通常15名(座席11人、立席4人)だが、今回の実証実験では安全運行のためのオペレーター用スペースが設けられているため、座席は8名乗りに変更されている。また、電動モーターで走るEV(電気自動車)で、最高速度25km/h(推奨18km/h)、1回の充電での航続時間約9時間、航続距離約100kmといった装備や機能を持つ。
加えて同モデルには、自動運転に必要なセンサー類や機器を数多く搭載する。まずは、自動運転車の目ともいえる「LiDAR(Light Detection and Ranging)」。赤外線を照射し、物体に反射した赤外線を受光することで、障害物検出を行うこの機器には、ルーフに3Dタイプ、前後バンパーに2Dタイプを装着する。
ほかにも車体の挙動をセンシングする「IMU(Inertial Measurement Unit/慣性計測装置)」、車両位置の特定に使用する「GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)」、自車周囲の安全確認などに使うカメラなども採用。また、あらかじめ作成した「3Dマップ」に走行ルートやエリアごとの制限速度なども入力し、現在のLiDAR情報とマッチングして自車位置を特定する「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」なども装備する。
ちなみに同モデルは、茨城県境町の生活路線バスや、東京都の羽田イノベーションシティで商業施設内の無料循環バスとしてすでに活用されている。今回の実証実験では、他車両や歩行者などが通らない限定区域内での走行だが、境町や羽田では公道走行も行っているため、安全性などに関しては一定の実績も持つ。
実際に乗ってみた感想
実際に自動運転バスに試乗してみた。今回の試乗会では、まず乗車前にタブレット端末にインストールされたアプリを使ってバイタル測定を行った。イスラエルのビナー(Binah)社が開発した同アプリは、タブレットのカメラで被験者の顔を検知し、バイタルサイン(血中酸素濃度、心拍数、呼吸数、心拍変動、メンタルストレスレベル)を自動で測定する機能を持つ。マスクを着けていても計測は可能で、筆者の場合、測定時間は約3分程度で終了。ちなみに、このアプリは、自動運転バスのアルマと同様に、マクニカが輸入販売を行っている。
計測後、自動運転バスへ乗り込む。筆者を含めた試乗者4名と運行を管理するオペレーターなど全6名が乗車し、シートベルトを締めたら早速スタートだ。EVなので当然ながらエンジン音は皆無で、スムーズかつ静かな走りといえる。
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