「監視資本主義」が教えるグーグルの「隠蔽戦略」 「フォードとグーグルの革命」の決定的な違い
ヘンリー・フォードが行ったような生産における革命と、行動データと個人情報を抽出するための隠れたプロセスの継続的強化を自慢することはまったく別物だ。
エリック・シュミットの「隠蔽戦略」
グーグルが決して明かそうとしないのは、同社が独自のルールを書き換える過程で、自ら抽出要求の奴隷になったいきさつだ。収益をあげるには、行動余剰が欠かせず、行動余剰を蓄積し続けるには、秘密主義が欠かせない。
秘密主義は、グーグルの舞台上と舞台裏のあらゆる行動を管理する方針と慣行において、制度化されてきた。ひとたびグーグルの首脳陣が行動余剰の商業的な力を理解すると、シュミットは彼の言う「隠蔽戦略」を制度化した。
グーグルの従業員は、特許が「新しい手法、装置、メッセージフォーマット、データ構造」と言及するものについて口外したり、金の流れについての噂を認めたりしないよう命じられた。隠蔽は、その場しのぎの戦略ではなく、やがて監視資本主義になるものが生来備えている戦略だった。
2002年から2004年にかけてグーグルの活動を記録したジャーナリストのジョン・バテルは、同社の「よそよそしさ」、「情報共有の制限」、「疎外と、不必要なまでの秘密主義と孤立」について述べている。
グーグルの初期の年代記を著した別の作家は次のように記している。「この情報が漏れなかったのは、インターネットビジネスを追跡していた専門家の中に、グーグルの秘策が実現可能だと思う人がほとんどいなかったからだ」。シュミットがニューヨーク・タイムズ紙に語ったように、「勝ちたいのであれば、そっと戦ったほうがうまくいく」。
また、行動余剰の取り込みと分析を支える科学や技術の複雑さも、隠蔽戦略を支えた。目に見えないマントになって、すべての操作を覆い隠したのだ。「わたしたちの規模での検索管理の複雑さは、参入しようとする企業にとって高い障壁になる」とシュミットは、自称ライバルたちに警告した。
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