「沖縄の民意」は、なぜ無視され続けるのか

知事選に向けヒートアップする本土・沖縄関係

この“他人事”がまさしく、沖縄問題の元凶であることを知事は認識していないのだろうか。日米同盟は大事、米軍駐留も必要だが、基地は沖縄でね、という無責任な日本の安保政策は、多くの無関心によって成立している。多くの関心事ではない基地問題について、日本外交は米国と交渉するつもりはさらさらない。そう思わせるエピソードがあちこちで聞こえてくる。

つい先日、泡盛を飲みながら安全保障が専門の大学教授から聞いた話に、思わず筆者はのけぞってしまった。ある日、国際政治学会の大御所に呼ばれた会合に出てみると、テレビなどでもお馴染みの外務省キャリア外交官がいた。日米外交交渉の実態を聞き取りしよう、という会合だった。

「日本の対米交渉はどうですか」。大御所が尋ねた。すると、米軍普天間返還をめぐる交渉にも深く関わったキャリア外交官はこう答えたそうだ。「米政府が考えていることを言い当てることです」。

対米外交での無作為が沖縄問題を複雑にする

その場がしばらく沈黙に包まれた。同席した研究者らは言葉を失う。会合を主催した大御所もしばし所作を失う。「君たちに議論はないのかね」と大御所が苛立つ。キャリア外交官は「米側の意向に沿って大筋決まります」と淡々と語ったらしい。

いやはや、こんなものだろうか。信じがたいが、これが日米交渉の実態だとすると、選挙でいくら民意を示しても基地問題は変わらない。

確認するつもりで、別の国際政治研究者にこのエピソードを話してみた。てっきり、のけぞり、怒り、落胆すると思いきや、反応はいたってクールだ。「いまさら……、その大御所もナイーブな人だね」。どうやら対米外交は交渉しないことらしい。

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