ロイヤルがチキンの専門チェーンを仕掛ける意図 アメリカ発祥の「バターミルクフライドチキン」
メインターゲットとして想定したのは、25歳〜45歳の、食や健康について意識の高い女性。
「ふだんファストフードをあまり利用しない方に、ライフスタイルの中で選んでいただけたらと思います」(石川氏)
今回、バターミルクフライドチキンバーガー、クラフトコーラを味わってみたが、「余計なものを使っていない、体によさそうな味」という印象。だからといって味気ないわけではない。サラダに入っているハーブやドレッシングなどが作用しているのか、素材そのものの味がしっかり感じられる。ファストフードというよりは、レストランの味を思わせる。
グループの強みを活かした店舗づくり
そしてオペレーションや店舗づくりにも特徴がある。工場やサプライチェーンといったグループとしての強みを活かし、店舗での作業を可能な限り単純化した。チキンの漬け込みやスパイスの配合、野菜のカットなどは工場で行い、店舗に毎日配送。店ではチキンを揚げたり、バンズにサンドするなどの最終工程のみを行う。
店舗スペースも最小限とし、打ちっ放しを基本としたシンプルな内装とした。低コスト、スピーディーな店舗展開が可能となる。
ただ、工場での調理と言うとロボットによるオートメーションというイメージがあるが、同社の場合は異なり、人の手による作業が多いのだそうだ。
「例えばクラフトコーラも、大きな窯に9種類のスパイス、3種類の柑橘類、砂糖などの材料を入れて煮込んでいます。保存料などの余計なものは入れていません。冷凍して配送したものを店舗で解凍、炭酸を混ぜて提供しています。このように人の手にこだわっているのもクラフト感を大事にしているためです」(石川氏)
ちなみにバンズも工場で「二段仕込み製法」によって仕込んだもので、しっとり、かつふんわりとした食感に仕上げているという。
上記のとおり、味といい工程といい、ファストフードと聞いてすぐに思い浮かぶメジャーチェーンとは正反対の印象があるラッキーロッキーチキン。狙いどおりの反響や実績が得られているのだろうか。
「客層や業績としてはほぼ想定どおりです。吉祥寺は若い層が多いなど、場所によって若干差があります。今後5〜10店舗程度を展開してみて、どんな地域でどのように利用されるかといった検証を進めていきたいと考えています。一つ予想外だったのが、チキンサラダが非常に売れていることですね。とくに武蔵小山の店は生活圏内の商店街の中にありますので、夕食のメニューの一つとしてテイクアウトして行かれる方が多いようです」(石川氏)
今後どのような規模を目指すかについては未定だが、石川氏の個人的なイメージとしては、今後コロナのような状況が再び起こった際の業績に貢献できるよう、グループの事業ポートフォリオの一つとして、育てていきたいという。
ロイヤルの主力チェーンロイヤルホストでは、セントラルキッチンでの調理と店舗でのひと手間を融合させ、チェーン店ながらレストランらしい手作りの味わいを提供してきた。今、SDGsといった言葉が一般的に使われるようになり、ファストフードも時代に合わせた変化を迫られている。そうした中スタートするファストフードとして、「クラフト」をコンセプトに掲げたところに、ロイヤルらしさが発揮されているようだ。
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