ほころび続々「維新」衆院選で大躍進も不安な内情 松井代表は約30人で2時間以上の会食が発覚

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新体制での初舞台となった12月6日召集の臨時国会では、いわゆる文通費と呼ばれる「文書通信交通滞在費」の抜本的見直しで立憲民主や国民民主と連携し、与党を追い詰めているが、司令塔は松井、吉村両氏で、新執行部は「伝達役」にしかみえない。

もちろん、13日からの衆参予算員会での補正予算案の審議で、藤田幹事長ら新3役が大活躍すれば「次の代表候補」に向けてのアピールにはなる。しかし、憲法改正も含めて自民寄りの路線が目立つ維新だけに、「派手に活動すればするだけ、国民からは自民の補完勢力とみなされる」(党幹部)ことにもなりかねない。

政治資金でのほら貝購入、長時間の反省会…

かねて「中央、地方を問わず維新は問題議員が多い」(自民幹部)との指摘も多い。今回衆院選で4期目の当選(比例復活)を果たした杉本和巳氏(61)は、政治資金での4万円あまりのほら貝購入がネットでも大炎上している。

橋下氏は「とんでもない勘違い」と厳しく批判。党幹部も「松井、吉村両氏におんぶにだっこで当選したのだから、不適切な言動は許されないのに」と肩をすくめる。

しかも、リーダーの松井氏も、12月になって党所属の国会・地方議員、市長ら約30人と「反省会」の名目で長時間会食していたことが発覚した。大阪府がコロナ対策のため、会食のテーブル別人数を4人以内とし、約2時間以内にとどめるよう要請している中での多人数の会食だけに、松井氏も記者団からの追及にしどろもどろとなった。

これらは「大躍進した維新への風当たりの強さの表れ」(党幹部)でもあるが、「党全体のイメージダウン」(同)は避けられない。国民的不満が渦巻く18歳以下への10万円給付で、政府と厳しく対峙してみせる松井、吉村両氏だが、「寄せ集めの国会議員の不祥事に足をすくわれる」(同)と、全国政党への脱皮は絵空事にもなりかねない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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