「在宅組と出社組」ボーナスに差ついた会社の事情

人事評価制度の運用で失敗してしまったケース

働き方が変わっても仕事を適切に評価する方法とは(写真:Pangaea/PIXTA)
コロナ禍によって、私たちの勤務形態は多様化しました。ところが、勤務形態の違いが仕事の評価に直結して、社員が不満を抱くケースがあるといいます。なぜ、在宅と出社というワークスタイルで評価に差がつくことがあるのか。『改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』の著書がある、人事評価制度コンサルタントの山元浩二氏が、事例とともに解説します。

在宅と出社、2人の社員の評価になぜ差がついた?

賞与支給日、A社では新型コロナウイルスの影響も一服したおかげで業績も回復、賞与支給額は前年比大幅アップとなり、職場は明るいムードが漂っていました。ところがそんな中、田中(仮名、以下同)はひとり賞与の支給明細を手に唇をかみしめていました。

田中は新卒入社5年目。4人いる同期の中で、いちばん親しい山田とはいつも賞与や昇給の結果を報告しあっていました。賞与に関しては、これまでまったく同じ金額が2人に支給されていました。ところが、今回2人の賞与額に初めて差がついたのです。しかも、山田の金額に比べて、田中のほうが5万円以上も少ないことがわかりました。

賞与対象期間中、仕事を通じて会社へ貢献し、目に見える成果も出したという自負を持っていた田中は、どうしても納得がいかず、上司の佐藤に問いかけました。「自分と山田君の賞与ですが、どうしてこんな差がついてしまったのでしょうか」。佐藤はこの質問に即答できませんでした。後に、佐藤が社長や総務に確認して返した理由はこうでした。

田中は、事務的な業務を担当していたため、緊急事態宣言中は会社の指示により在宅で業務を行っていました。一方、山田はマーケティングや商品企画に関する仕事に携わっていたため、常時会社に出勤していました。とくにこの間、コロナ対策の新サービスに開発メンバーのひとりとしてかかわっていました。これが、新たな売り上げに貢献したという判断で、最高ランクの評価結果と賞与を獲得することにつながっていたのです。

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