一方的に話すだけの人に人望が全然集まらない訳 情熱的に説得するよりも効果的に心をつかむコツ
せっかく私の本を読んで、講演会、懇親会にまで足を運んでくださったファンの方です。私は正直に言いました。
「自分の話したいことを2割に抑えて、とにかくお客さんがあなたに何を求めているのかをしっかりとヒヤリングするスタイルに変えたら、売り上げが倍になりますよ。あなたはとても情熱家ですから」
「聞き役」に徹すると売り上げが5倍に増えた
その後半年ほどして、その会場の隣の市で講演する機会がありました。
「あのときの彼は、来ているかな。来てくれたらその後の話を聞きたいな」と思っていたら、うれしいことに、その日も彼はいちばん前の席で私の話を聞いてくれていました。
そして懇親会。彼も参加してくれていました。
そこでまず驚いたのは、見た目や雰囲気が大きく変わっていたことでした。
最初に会ったときの押しの強そうな威圧的な雰囲気から、口角が上がって目尻の下がった、何とも親しみやすい顔つきに変わっていたのです。
話を聞いてさらに驚きました。
半年間で、なんと、営業成績が5倍に伸びたというのです。
その間、彼が試みたのは、私のアドバイスどおり、人の話に耳を傾けるようにしたこと、それだけでした。
彼はしみじみ私にこう言いました。
「永松さん、あのアドバイスの翌日から、私はスタイルをすべて変えました。とにかくお客さんが困っていることは何だろう、どんなふうにお役に立てるんだろう、そこだけに集中してお客さんのヒヤリングを始めたんです」
「すごいですね、即実践の方なんですね」
「はい、実は前回お会いしたとき、売り上げがあまりにも上がらなくて、転職を考えていました。しかし永松さんのアドバイスどおりにやると、どんどん成績が伸びました。自分がいかに見当違いな営業をやっていたかを痛いほど思い知らされました。おかげさまで順調です。先日表彰もされました。本当にありがとうございます」
と言って、スッと席を立ちました。
その懇親会の間中、私は遠目で彼をウォッチしていたのですが、ずっと笑顔で人の話をうなずきながら聞いていました。
すべては、「聞くこと」から始まります。
彼は、たった1つ、「聞く」ということをしていなかったがために伸び悩み、そしてたった1つ、「聞く」ということをしただけで、大きく飛躍できたのでした。
私は彼を通じて、「話を聞くこと」の重要性をあらためて、実感したのです。
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