一方的に話すだけの人に人望が全然集まらない訳 情熱的に説得するよりも効果的に心をつかむコツ

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人が離れていく人と「周りが喜んで協力してくれる人」の差とは(写真:xquang/PIXTA)
3坪のたこ焼きの行商から、口コミだけで県外から毎年1万人を集める大繁盛店を作り、ユニークな人材育成法をこれまで延べ45万人に伝えてきた永松茂久氏。その永松氏がコミュニケーションの秘訣を明かし、2021年いちばん売れた本『人は話し方が9割』より、「無理せず周りを巻き込む方法」について解説します。

自分のことばかり話しすぎていないか?

数年前にあった、講演会終了後のとある懇親会での話です。

ドリンク片手に私のところへやって来るなり、ものすごい勢いで話し始めた男性がいました。

彼は自分が保険会社の営業マンであること、そして、永松茂久の熱烈なファンであること、さらに、私の本と講演会でどれだけ勇気づけられ救われたかを、延々15分ほど話してくれました。

講演をなりわいの1つとしている身として、ファンの存在はかけがえのないものです。

わざわざ私の元へやってきて、熱っぽく話をしてくれたことは本当にうれしかったですし、心から「ありがとう」と思いながら聞いていました。

しかし、1つだけ、気になったことがありました。

ひとしきり自分のことを話し終えた彼は、今度は自分の仕事について話を始めたのです。保険会社の営業マンとして勉強を重ね、日々、努力していること。こんな方法や、あんな方法、いろいろ試していること……。

あまりに彼が熱心なので、私はなかなか話を止めることができず、ただひたすら聞いていました。

彼がひと呼吸おいたタイミングで、やっと「で、仕事はどうなの? 売れてる?」と聞いてみました。

すると彼は一瞬、沈黙しました。そして、私の問いに答えないまま、再び仕事の話を始めてしまったのです。

そこからは、保険の細かい種別や選び方など、どんどん話がマニアックになっていきました。さすがの私もたまりかね、

「あのね、ちょっと質問してもいいかな?」

と待ったをかけました。しかし彼は、

「ちょっと待ってください。ここまで話させてください」

と私を制して、なおも話を続けます。

そんな中、私が彼について思ったこと、それは、「おそらく彼は誰に対しても、こんな感じで話しているんだろうな」ということでした。

時間にして数十分過ぎた頃でしょうか。彼はようやく満足したと見えて、「ありがとうございました! いいお話が聞けました。最後、何かアドバイスがあったらください!」と言いました。

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