ウクライナ国境にロシア軍が集結し緊張が高まる状況にあって、バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は7日、オンライン形式の会談を行った。バイデン大統領はロシアがウクライナに侵攻するなら米国は同盟国と共に「強力」な措置で対応すると警告した。両首脳の会談は、6月にジュネーブで対面で行われたものも含め、今回で4度目となる。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は会談終了後にワシントンで記者会見し、2時間に及ぶ会談でバイデン大統領は「プーチン大統領に対し、ロシアがウクライナに侵攻した場合、米国と欧州同盟国は強力な経済措置で対応すると直接伝えた」と説明した。
バイデン大統領はまた、ロシアが侵攻した場合、米国はウクライナに防衛装備品を追加供与すると警告したという。
一方、ロシア大統領府は声明で、こうした警告に対しプーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)がウクライナ加盟やロシア国境への兵器配備の可能性を強める「危険な取り組み」を進め、緊張を高めていると反論したと明らかにした。
ロシア側の声明は7日の首脳会談について「率直かつビジネスライク」だったと説明。プーチン大統領はNATOの東方拡大やロシア領土近くへの兵器配備を排除する法的保証をあらためて求めたという。
米国はどの国がNATOに新たに加わるかロシア政府に拒否権はないと主張してきたが、サリバン補佐官は記者会見でロシアの「戦略的関心事項」について、バイデン政権と欧州同盟国が協議に応じる用意があると表明。こうした米側の姿勢に対し、ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は首脳会談後の会見で歓迎の意を示した。
サリバン補佐官によれば、米国はプーチン大統領がウクライナ侵攻に関して決定を下したとはみていない。ロシア当局者は同国が紛争を計画しているとの見方を繰り返し否定してきた。
バイデン大統領はフランス、イタリア、英国、ドイツの各国首脳に電話し、会談内容について説明した。サリバン補佐官はこのほか、バイデン大統領が9日にウクライナのゼレンスキー大統領と話す予定だと語った。
イラン巡り「生産的」議論
会談では一致点もあった。サリバン補佐官は、両首脳がイランに関して「生産的」な話し合いをしたとコメントした。米国とロシアは他の主要国とともに2015年のイラン核合意の再建に向けた取り組みを進めている。
ホワイトハウスの声明とサリバン補佐官は今後の対面での首脳会談の計画を示さなかったが、ホワイトハウスは、両首脳がそれぞれのチームにフォローアップを指示したとした上で、米国が同盟国やパートナー国と緊密に連携しながら取り組んでいく方針を明らかにした。
ロシア側は会談の建設的な側面を強調したが、ウクライナ国境に集結したロシア軍の撤収をプーチン大統領は約束したかとの質問に対し、ウシャコフ補佐官は「どこにわが国の兵士を撤収させるというのか。彼らはロシアの領土内にいるではないか」と答えた。
また、バイデン大統領による制裁の警告に対しては、「制裁は新しいことではないとわれわれの大統領は言っている。これまでも使われており、米国とロシアのいずれにもプラスの影響をもたらしていない」とウシャコフ氏は述べた。
原題:
Biden-Putin Call Over Ukraine Ends With Sanctions Threat Looming
Biden Warned Putin of Strong Measures Over Ukraine Escalation
Putin Set Out ‘Kyiv’s Destructive Line’ to Biden, Kremlin Says
Biden Told Putin He’d Bolster Ukraine Military If Russia Attacks(抜粋)
(米ロの大統領補佐官の発言を追加して更新します)
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著者:Justin Sink、Ilya Arkhipov
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