もてぎが「モビリティリゾート」に改名するワケ ホンダ直系施設のビジネスモデルに大きな変化

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今回、モータースポーツの関連施設としてではなく、グランピングなど森をイメージしたリゾートエリアを中心にツインリンクもてぎの中を見て回ったが、長年この地を訪れている筆者はその印象を大きく変えた。

もっとも印象深かったのは、ハローウッズの中にある丘の上から見た光景だ。まさに、「カーボンニュートラルのリアルワールドだ」と思った。

左手側にあるサーキットから一般ライダーがスポーツ走行をするエキゾーストノートが聞こえる一方で、目の前のハローウッズでは動力を使わないさまざまなアクティビティを楽しむカップルや、遠足に訪れている地元の小学生たちの姿があるのだ。

2021年7月、森と星空のキャンプヴィレッジに新設されたロータステント(筆者撮影)

カーボンニュートラルとは、人間が社会活動で生み出すCO2等の温室効果ガスを森林など自然界が吸収することで、“CO2排出量の実質ゼロ”を目指すという考え方だ。

今回の取材日は、ちょうどイギリス・グラスゴーでCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されており、カーボンニュートラルを踏まえた“自動車の電動化”の義務化について、世界の国や地域が議論を深めているところだった。

ホンダに限らず、日本経済の屋台骨である自動車メーカーにとって、自然環境への対応は企業として、また人としての責務である。また同時に、企業経営として欧米主導のESG(環境・ソーシャル・ガバナンス)投資に向けた戦略をしっかりと描く必要もある。

そうした昨今の社会の縮図が、今のツインリンクもてぎから強く感じ取ることができた。

左手にレーシングコース、目の前にハローウッズ、そして周囲に栃木と茨城の山々が見える(筆者撮影)

施設名と社名を改めて再スタート

ツインリンクもてぎは2022年に開業25周年を迎え、「モビリティリゾートもてぎ」へと変わり、新たなるスタートを切る。また、鈴鹿サーキットも開業60周年を迎え、両施設を運営する企業名も2022年3月1日付で、モビリティランドからホンダモビリティランドに変わる。

同社の田中薫社長は「Hondaグループとして連携を強化し、これからもモビリティの体験を通して新しい価値を創造し、喜んでいただけることを目指して、取り組んでまいります」とコメントしている。

今から29年先の2050年、「モビリティリゾートもてぎ」はどのような場になっているのだろうか。そんな思いを抱いて、もてぎの地をあとにした。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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