薩摩川内市議、"再稼働"めぐり賛否両論 地元市議3氏に聞く、川内原発再稼働の是非

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鹿児島県知事は10キロメートル以遠の要援護者の避難計画は作らないなどと言っている。健康な人は逃げられるのに、要援護者の計画を立てないのは無責任だ。また、現段階で5キロメートル圏内までの要援護者の避難計画は立てたと言っているが、どの福祉施設に行くのかを公表していない。これでは事前にチェックもできず、計画を立てたことにはならない。

薩摩川内市の市民団体が6月に行った市民アンケートでは、1133通の回答が寄せられ、85%が川内原発の再稼働に反対していることが分かった。「福島第1原発のような事故が川内原発でも起こると思うか」との問いには、「起こる」「起こるかもしれない」と回答した人が合わせて89%に上った。市長は「回収率が低すぎる」として軽視しているが、市民は福島事故からだんだんと学んできている。(談)

原発は代替エネルギーができるまでの「つなぎ」
地元経済にとって原発の存在は大

成川 幸太郎(川内原発対策調査特別委員会副委員長、民主党)

今後、原子力規制委員会などによる地元での説明会を経て、市議会の議決などの地元同意のプロセスが必要となる。こちらとしては、規制委の「審査書」が確定しないと動きが取れない。説明会は鹿児島県と薩摩川内市による共催となるが、具体的な日程などは決まっていない。

個人的に川内原発の再稼働に関しては、代替エネルギーが見つかるまでは安全性を確認したうえで再稼働させることに賛成している。原発に頼らない状況になるまでの「つなぎ」という位置づけ。民主党は2030年代の原発ゼロを掲げている。

避難計画を完璧にするのは至難の業。特別委として避難先や避難ルートの視察も行ったが、細かい問題点を挙げればいっぱいある。再稼働が決まっても、もっと地元に即した形で内容を詰めていく必要がある。避難計画への国の関与を強めるため、経済産業省の職員派遣が決まったことは心強い。火山の問題についても、桜島が大噴火すれば鹿児島が焼け野原になりかねないので、国の問題として全体的な防災計画を作るべきだ。

特別委は議決する前に、審査書をまとめた経緯などを説明できる原子力規制庁幹部を呼ぶことで、すでに規制庁側から同意が取れている。特別委では各委員に400ページに及ぶ審査書案を配って準備しているところだ。それとは別に、規制委・規制庁による市民説明会が開かれる。市民説明会は、200~300人の応募枠で抽選となろうが、議員枠もできるだけ多く取ってもらいたい。

市民説明会を経たうえで特別委が議決し、市議会での議決となる。10月9日までの9月議会(定例議会)では決算審査もあるので難しく、その後に臨時議会を開いて議決することになるかもしれない。それもまず、規制委が「審査書」をいつ確定するかにかかっている。

地元の経済にとって原発の存在は大きい。最近も火力発電所が水漏れ事故を起こし、電力供給に不安があった。今は川内原発の安全対策工事で約3000人の作業員が原発内に入っているので、市内のホテルや飲食店関係はどこも満杯だ。ただ、工事が終わっても原発の停止が続けば、その反動が予想される。将来的には、水素エネルギーなど新エネルギーによって原発に頼らない社会を実現していく必要がある。(談)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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