100円稼ぐのに、916円かかる鉄道会社は? 営業係数で見た「ワースト20鉄道」ランキング
線路や施設も保有し、なおかつ旅客営業も行っている鉄道会社では、大阪モノレールとして事業を展開する大阪高速鉄道の68.5が最高だ。ちなみに、JR各社の中ではJR東海の70.9が、大手私鉄の中では阪急電鉄の76.7がそれぞれ最も高い数値を上げている。
ワースト1位は、徳島-高知を結ぶ阿佐海岸鉄道
一方で、営業係数がよくない鉄道会社も多い。「線路や施設を保有し、旅客輸送を行っている」という条件で「ワースト20」を挙げてみよう。
ワースト1位となった阿佐海岸鉄道は、徳島県海陽町の海部駅と高知県東洋町の甲浦(かんのうら)駅とを結ぶ長さ8.5キロメートルの阿佐東線で営業を行う。
残念ながら前年度の2010年度の営業係数も699.4と、全国の鉄道会社中、最も悪かった。つまり、100円の営業収入を得るために699.4円の費用をかけているということになる。
営業係数がよくない状況が生じる理由は、各社さまざまだ。阿佐海岸鉄道の場合、旅客運輸収入がわずか778万8000円しかなく、営業収益自体も963万2000円と少ないのは致命的である。営業費が8823万9000円と多い点は気になるものの、これ以上切り詰めようもないのかもしれない。
とはいえ、「20社を並べて比較すれば、何か傾向がつかめるはず」と、筆者が着目したのは、旅客運輸収入に占める定期乗車券の売り上げ比率である。大多数の鉄道会社で通勤、通学と2種類が設定されている「定期乗車券」は、通常の乗車券と比べて割引率が高く、運輸収入を減らすひとつの要因として考えられるからだ。
例えば、JR東日本で東京の電車特定区間内を10キロメートル乗車すると、普通乗車券の運賃は165円(SUICA利用)である。一方、同じ区間で1カ月の通勤定期乗車券を購入すると5170円で、SUICAを利用して1カ月に20日間、往復乗車した場合の6600円と比べると、21.7%引きだ。
「通学定期乗車券」の割引率は、さらに高い。上記の区間での定期乗車券の運賃は大学生用で4320円、高校生用で3880円、中学生用で3020円、割引率は順に34.5%、41.2%、54.2%である。有効期間が3カ月、6カ月と長くなれば割引率はさらに増えていく。
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