5年後売上500億円目標の現実味は?−−大日本印刷が国内最大級の電子書店を今秋開設
大日本印刷は、上場子会社のCHIグループ<3159>と連携し、約10万点のコンテンツを揃えた国内最大級の電子書店を今秋開設する。キンドルやアイパッドなどの携帯端末の登場で電子書籍ビジネスが盛り上がりを見せる中、これまでグループ企業で取り組んできた出版関連事業やパソコン、携帯電話向けのコンテンツ流通のノウハウを生かし、電子書籍関連の需要を取り込む狙いだ。
この電子書店では、パソコン、スマートフォン、読書専用端末など、あらゆるデバイスに対応した電子書籍コンテンツを販売する。グループ会社のオンライン書店「bk1」(ビーケーワン)と連携して紙の書籍も取り扱い、将来的には丸善、ジュンク堂、文教堂などグループ会社の書店との協業も視野に入れている。
大日本印刷は電子書店事業で、5年後に500億円の売り上げを見込んでいるが、ここ1~2年で大日本印刷の業績に与える影響は小さそうだ。「東洋経済オンライン」の業績予想数値に変更はない。
大日本印刷の前2010年3月期の売上高は1兆5833億円。500億円はこの全体の売り上げの3%程度。しかし、インプレスR&Dの発表によると、09年度の日本の電子書籍の市場規模は、前期比23.7%増の約580億円。5年後の14年度には09年度比2.3倍の1300億円に市場規模が拡大することが予測されている。大日本印刷の電子書店事業の売り上げ見込みは電子書籍コンテンツだけでなく、周辺事業も含めた数字のため単純比較はできないが、国内の電子書籍市場で大きなシェアを確保することを目指している。
これに対し、印刷2強の一角でライバルの凸版印刷<7911>も、7月1日にソニー、KDDI、朝日新聞社と共同で電子書籍プラットフォーム事業の事業企画会社を設立。10月に事業会社化し、年内の配信サービス開始を目指している。また、電子出版時代に向けた戦略「出版イノベーション2010」を策定し、こちらも15年度までに売り上げ500億円を目指すと、一歩も譲らない。
近年、どの印刷会社も出版不況の影響で出版印刷部門の不調が続いている。これらの電子書籍事業の伸長で、どこまで不調の出版印刷を補完できるかという点でも注目される。
(島 大輔 =東洋経済オンライン、写真は「デジタルパブリッシングフェア」(7月7日~9日)での大日本印刷のプレゼン風景)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2010.03 1,583,382 66,513 68,841 23,278
連本2011.03予 1,640,000 75,000 73,000 32,500
連本2012.03予 1,690,000 84,000 82,000 41,000
連中2009.09 771,276 25,610 24,932 7,924
連中2010.09予 800,000 36,000 35,000 15,500
-----------------------------------------------------------
1株益¥ 1株配¥
連本2010.03 36.1 32
連本2011.03予 50.4 32
連本2012.03予 63.6 32
連中2009.09 12.3 16
連中2010.09予 24.1 16
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