米国型経営モデルは失敗、「欧州の価値」評価に期待--ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツCEO ブルクハート・シュべンカー
今も終息しない欧州危機。企業への影響や欧州復活のカギについて、欧州屈指のコンサルティング会社の代表に聞いた。
--ギリシャ危機が及ぼしたユーロ安。欧州経済への影響は。
この危機はスペインやポルトガル、イタリアまで拡大するかもしれませんが、足元の欧州の実体経済は、まだまだ強いと、考えています。
確かに、一時と比べユーロが弱くなっているが、ユーロ誕生時と比べればまだ30%ほど高い水準を保っている。現在の1ユーロ=1・2ドル台といった水準は、はたして弱いのか……。世界を見渡せば、貿易赤字や財政赤字が大きいのは米国。その米国から欧州について悪い見方をされるというのは、よく理解できない。
あともう一つ、ユーロ安は輸出志向の会社にはプラスに働く一方で、半完成品の輸入価格が上昇してしまう。注視すべきは、この負担増がどれほど経済全体に悪影響をもたらすかだが、欧州企業を大きく揺るがすことになるとは見ていません。
--財政・経済状況が大きく異なる国同士が、共通通貨ユーロで結び付いているシステムそのものに、問題があるのでは。
ユーロそのものには、やはり価値がある。ユーロは欧州が一つの国として結束していることを示す象徴になっているからです。統合された、ドメスティックな市場を作るという意味での最初のステップにもなる。これからのグローバル競争の進展を予測すると、欧州は統合された形で戦わないと、勝ち目がない。
欧州全体で5億人という居住者がいることを考えれば、統合された国内市場を作ることによって、欧州の企業からすればホームマーケットができる。そのホームマーケットがグローバルな競争で勝っていくためにはユーロが必要だと考えています。