米国型経営モデルは失敗、「欧州の価値」評価に期待--ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツCEO ブルクハート・シュべンカー
--この複雑な時代に、企業経営をコンサルティングする難しさが増大していると思いますが、どのような経営指導を行っていますか。
企業はどのように対応すべきか迷っているのは事実です。しかし、まずもって企業が今なすべきことは、これまで以上に国際化を推進していくことです。単に輸出だけではなくて、各地で自分たちのビジネスを構築していく必要があると思います。
これからは企業戦略を立案するときには、予測にあまり依存しすぎてはならないと考えています。複雑な予測モデルというのが、これまで正確な予測を導いていなかったからです。むしろ今後は、新たなシナリオテクニックというのが重要になる。いろいろな将来図を予想し、それに当てはめて戦略を作っていく。
その場合の戦略立案のプロセス自体も、考え直さねばなりません。今までの本社主導型ではなく、より分散させて世界のいろいろな地域の今後の状況を、肌で受け止められるような形が必要だと思います。
--今後5年から10年先の成長産業をどうイメージしていますか。
一つがグリーンビジネスにかかわるもの。これは、天候の変動やら温暖化を防ぐためのビジネスということですが、自動車業界から再生可能エネルギーまで、いろいろ含まれていきます。もう一つは、人口の変化に対処するものですね。一般的に人口減少は脅威と見られていますが、違う見方もできる。
労働力の減少は、生産性を向上させることでしか回避できないので、そのためのイノベーションが不可欠。現時点で強固な産業基盤を持っている国では、こうした産業が大きな市場になってくると思います。
(聞き手:鈴木雅幸 =週刊東洋経済2010年7月24日号)
Burkhard Schwenker
1958年生まれ。商学博士。製紙メーカー勤務を経て、89年ローランド・ベルガーに入社。92年パートナーに就任、2003年より現職。ヨーロピアン・ビジネススクールなどの理事を務め、講義も行っている。
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