米国型経営モデルは失敗、「欧州の価値」評価に期待--ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツCEO ブルクハート・シュべンカー
--欧州経済の復活には克服すべき課題は何だと考えますか。
欧州の中には、ドイツやフランスといった強い経済国もありますし、今後、中欧や東欧諸国に大きな経済発展の可能性もある。欧州の経済的なパワーはまだまだ期待できると思います。その前提に立って、重要な課題は四つあります。
一つ目は、欧州の経済政策におけるパワフルな調整機関が必要だと思います。欧州における「経済政府」のようなものでしょうか。二つ目には、欧州版IMF(国際通貨基金)といった独立機関が必要ですね。今回、ギリシャ危機の救済ではIMFの力を借りねばならなかったのは、若干残念な気もするからです。
第三には、格付け機関が欧州にあると役に立つのではないかと思っております。これは、欧州のパワーをしっかりとモニタリングしているということのサインにもなる。そして、最も重要だと思っているのが、欧州のホームマーケットを共有できるような、大規模な欧州プロジェクトを企画すること。欧州の人間であることに、誇りを持って活動できるような説得力のあるプロジェクトを作っていけたらと、考えています。
--格付け機関とは、既存のものとは異なる形で欧州に必要だと。
ムーディーズやS&P、フィッチにしても、すべて米国ベースの機関なのです。それ自体が問題だとは言いませんが、欧州に根差し、そして「欧州の価値」を正しく評価できる機関が必要だと考えています。少なくとも、既存の米国ベースの機関との、格付け機関同士の新たな競争が生まれるのではないでしょうか。